『俺が姉で、姉が妹で、妹が俺で』

作:月華

夏も近づく土曜日の朝、目を覚ました至(いたる)は、掛け布団の股間の辺りが、やけに盛り上がっているのを目にした。
と言っても、高校生男子にありがちな朝立ちではなく、人間一人が入れるぐらいに大きくなっていて、もぞもぞと動いているのだ。
(また翔子ねぇだな)
そう思いつつ、がばり、と至は布団を剥がした。
「あ、おはほー」
義理の姉に当たる翔子が、上目遣いに見つめてきた。
声がこもっていたのは、その口には、朝立ちした至のものが、しっかりとしゃぶられていたからだった。
姉がこうやって、朝から弟にエッチな悪戯をしてくるのは、今日に限ったことではない。
二人の関係が始まったのは、今年の春からだった。
それは、親同士の再婚、という形による出会いからだった。
至の父親と翔子の母の再婚が決まった時に、新しい家族を紹介する、と言われて、大学生の翔子と、その妹で中学生の美久と会わされたのだった。
彼女もおらず、せいぜいクラスメイトの女子とたまに会話をする程度の経験しかない至にとっては、突然、姉と妹が出来るというのは、驚きであり、戸惑いだった。
ふわりとしたウェーブの掛かった髪の毛を揺らしてよろしくね、と手を差し出してくる翔子に、ショートカットの髪の毛を俯きがちにさせながら、お願いします、と言ってきた美久。
どう付き合って良いのか分からないうちに正式に再婚となり、さらに至を困らせるかのように、両親は揃って海外出張へと出掛けていったのだった。
危険な地域なので、子供たちを連れていく訳にはいかない、というのがその理由だったが、本当は、二人して、新たな新婚生活を楽しみたいのだろうなあ、とは、子供たちはなんとなく思っていた。
そんな両親の子供たちが、一つ屋根の下で暮らすうちに、単なる義理の関係に止まることはなかった。
最初に誘ってきたのは、姉の翔子だった。
雷が鳴る夜のこと、恐いから一緒に寝て欲しいと言って、翔子が至の部屋へ入ってきた。
そしてそのまま、抱きつくようにベッドに横になっているうちに、至は義理の姉を相手に、童貞喪失をすることとなったのだった。
ちなみに、その際の体位は、騎乗位だった。
翌日、妹の美久に、翔子は雷が嫌いなのかと、それとなく聞いてみたら、そんなのを見たことは一度もない、とあっさり言われてしまった。
それからも、至と翔子の関係は続いた。
翔子の方は、何人か男性経験はあったようなのだが、その時はフリーだったのか、もっぱら至にご執心、となった。
一つ屋根の下で、姉と兄がそんな関係になれば、妹も気付かないはずがない。
ある夜に突然起こった停電の中、一緒に寝て欲しいと美久が至の部屋へ入ってきた。
そして、翔子と同じことを、自分にもして欲しい、と涙ながらに訴えてきたのだった。
停電で恐いということもあったのかもしれない。姉に対する対抗心があったのかもしれない。
姉で童貞を喪失した至は、今度は妹の処女を喪失させることとなった。
終わって、美久が部屋へと戻っていった後に、停電は復旧した。
翌朝、至が目を覚まして台所へ行くと、何故か高い所にある配電盤の下に、椅子が置かれていたのだった。
それを見て、美久はある意味、翔子以上だな、と思ったものだった。

そんなこんなで、至と義理の姉妹の関係は続いていた。
「翔子ねぇ。朝っぱらから、こんなことしたら……美久にばれるよ」
朝立ちしたものをしゃぶられる快感に、至は布団の中で身悶えしながら訴える。
ペニスをしゃぶっていた口が離され、代わりに、手が添えられ、シコシコと至のものを擦り立て来る。
「だってぇ、今日は合コンなんだもの。わたしは行きたくないって言ったんだけれど、人数あわせでどうしても来て欲しいって言うから。
だから、わたしが浮気したりしないように、こうやって、いーくんエキスを補充しておくのよ☆」
ウィンクをしてから、翔子は再び、いーくんエキスとやらの発射口であるペニスへと、口を添えてきた。
包み込むようなねっとりとした感触が、ペニスへと伝わってくる。
「それとも、こっちの方がいいかしら?」
言うなり翔子は、パジャマとブラを取り、その下に包まれていた巨乳をさらけ出した。
ボリュームと若さを兼ねたGカップのバストは、至の視線を釘付けにしてしまう。
至のズボンとパンツが降ろされ、下半身がさらけ出されたところへ、圧倒するようなサイズの乳房が、遠近感を無視して近づいてくる。
両手を添えられた白い膨らみが至のものを挟み込むと同時に、その中心にあるペニスからは、やんわりとした感触が伝わってくる。
その感触は、手や口とも、そして膣とも違う、パイズリ特有の、包み込まれるような柔らかさだった。
敏感になっている部分が、柔らかく弾力のある、ぷるんとしたバストで愛撫される度に、至は、マシュマロがいっぱいに入った風呂の中に全身を浸けているかのような想像をしてしまうのだった。
きゅっ、きゅっ、と音を立てるように、弾力のある乳房が、えらばった雁首をなぞり挙げるように動いていく。
「ねえ、いーくん。気持ち良い?」
にこやかな笑みを浮かべながら、せわしなく乳房を動かしつつ、尋ねてくる。
そこには、あくまでも弟に気持ち良くなってもらうことが大事、という姉の愛情のようなものが感じられた。
「うん、気持ち良いよ」
「うふふ。それじゃあ今度はこうしてあげる」
巨大な乳房を挟んでいた細い指先が動いて、その先端にある左右の乳首を摘んだかと思うと、ピンク色をした頂で、至の雁首をなぞってきたのだった。
「ああ、それ、いいよ……」
乳房全体のパイズリに比べれば圧迫感は無いものの、指先とも違う、こりこりとした固さを持つ乳首が、敏感な雁首を這い回っていく様のいやらしさはそれ以上だった。
「翔子ねぇ……良いよ……」
乳首は、雁首だけでなく、亀頭の丸みや、その先端にある鈴口へも当たってくる。
女の小さな突起でペニスをじわじわと擦られると、まるで亀頭がいつもの何倍もの大きさに膨れあがったように感じられるのだった。
「ああ、わたしも、もう我慢できない」
叫ぶなり、翔子はウェーブした髪の毛をさっと掻き上げつつ、口元で至の勃起したものを、再び咥えたのだった。
パイズリと乳首の刺激を受けていた上に、口中と舌先の粘膜が覆い被さってくるのは、至にとってはとどめの一撃だった。
ぞわり、と背筋に電気が走ったかと思うと、
「翔子ねぇ……もう、出るぅぅぅぅぅ」
びゅくり、びゅるるる、と音が聞こえてくるぐらいに、朝立ちのままだったペニスは、そのまま射精へと至ったのだった。
はあ、と満足げに溜息を漏らしている至のものを、翔子はしゃぶったまま、その口中に吐き出されたものを、ごくり、ごくり、と飲み込んでいくのだった。
やがて、ちゅぽん、と音を立てるかのように、唇からペニスが外された。
「いーくんエキス、注入完了。充填率、50パーセント!」
悪戯っぽい声で、翔子はそう言ってくるのだった。
それは、もう一回、精液が欲しい、というおねだりの言葉であった。
まだ若いと言っても、射精したばかりの至にはちょっと休憩が必要だった。
だが、そんなことはお構いなしに、翔子はパジャマの下を脱ぎ、全裸になるなり、ベッドの上へと立ちあがって、尻を至へと向けて、股間を突き出してきた。
「ねえ、わたしのオマ○コに、オチン○ン欲しいの。気持ち良いわよ、わたしのオマ○コ。オチン○ン、ねちょねちょに、ぐちょぐちょに包み込んで、あ・げ・る……」
さっきのフェラチオで興奮していたのか、翔子のものも、すでに濡れており、受け入れる準備はすでに出来ているようだった。
ひくひくと動き、たらりと愛液を湿らす股間からは、男を誘うような、メスの淫靡な匂いが伝わってくる。
そんなものを見せつけられては、至のものはすぐに反応してしまう。
「あは、すぐに大きくなってくれて、あたし、嬉しいな」
尻を向けたままに、手を伸ばして、愛おしげに、至の勃起したものを、ほっそりとした手が撫でてくる。
翔子は、体の向きを変えて、至を見下ろしてくる形になった。
そのまま腰を下ろし、上を向いた至のものへと、濡れそぼった股間を近づけてくる。
ぴたり、と愛液に溢れる割れ目がほころび、至の亀頭へキスをするように当たってくる。
「いくよ」
嬉しげに、翔子は至を見つめたまま、挿入の感じを少しでも長く味わうかのように、ゆっくり、ゆっくり、と腰を下ろしてきた。
鈴口が、亀頭が、雁首が、陰茎が、だんだんと翔子の中へと入っていく。
ねっとりとして柔らかく、まるで無数の小さな指先で、撫で回されているかのようだった。
「ああ、いーくんのが、わたしの中、いっぱいにしてくる……」
至の全身を見下ろしつつ、満足げに翔子は呟く。
根本まで入ったところで、翔子は埋まり具合を確認するかのように、腰を前後に揺らした。
「うふ、いーくんのオチン○ン、硬くって気持ち良い……
ね、一緒に気持ち良くなろう」
言うなり翔子は、腰を上下に振り始めた。
咥え込んだ至のものを、むさぼるようにして動く、翔子の全身が見て取れる。
ふわりとした髪の毛は宙に舞い、大きな乳房は激しく上下に揺さぶられ、腰は淫らにくねり、膣口へは至のものがじゅぷじゅぷと出入りをしている。
その接合点からは、さらに激しい接触と動きを促すかのように、翔子の性器が流すいやらしい潤滑油が溢れていく。
包み込まれている部分では、至のものを、翔子の膣襞が撫で回してくる。
翔子が腰を下ろすと、雁首が撫で下ろされていき、やがて、こつん、と終点に当たる。
その度に、翔子は、あぁん、という声を上げる。
腰が持ち上げられると、今度は雁首がまくり上げられ、同時に雁首によって掻き出された蜜液が、どろりと溢れ出てくる。
「ああ、翔子ねぇ。もう出ちゃうよ」
「出して、出して。いーくんのザーメンで、わたしを気持ち良くさせてぇ!」
叫びつつ、翔子は腰の動きを激しくした。
「ああ、出る、出るぅぅぅぅぅ」
どぴゅるるるる、どぴゅぅぅ
至の中に溜まっていたものが、一気に翔子の子宮口めがけて吐き出されていく。
「あはぁぁぁ」
至の精液を子宮で味わうかのように、翔子は体をぶるぶると震わせ、その快感を見せつけてくる。
「ああ、すごく気持ち良かったな。これだったら、コンパでも浮気とかしたりしないから。だから、帰ってきたら、またお願いね」
至のペニスを咥え込みつつ、翔子はウィンクをしてくるのだった。

「またお姉ちゃんとエッチなことしてたんでしょ」
妹の美久が作ってくれた朝食を食べていると、美久にそう言われた。
その顔には、本当は怒っているんだけれど一応妹として怒っていないように振る舞っているけれどやっぱり怒っているのだ、と書かれているかのようだった。
翔子とのエッチの後、シャワーを浴びたものの、やはり雰囲気で分かってしまうのだろうか。
女の勘は恐いな、と至は思う。
「で、お姉ちゃんには何回出したの」
「1回だけ」
至はパンを囓って平静を装いつつ、そう嘘をついた。
「それじゃあ、あたしも最低1回だよ」
姉に張り合うように、美久はそう言ってきた。
いつものことであるが、正直に言わなくて良かったな、と至は思った。
至の股間が完全に回復するのを待っているのか、それとも姉としたすぐ後というのが気になったのか、午前中に至の部屋へ、美久が入ってくることはなかった。
だが、昼食のメニューに、オクラと納豆、それに、どこで調達してきたのか、夜のおかし、ウナギパイが置かれているのを見て、ああ、来るな、と至は思った。
そして、昼食後すぐに、部屋のドアがノックされた。
「入ってもいいぞ」
寝転がっていたベッドから上体を持ち上げて、至は答える。
「お兄ちゃん、入るよ」
そう言って美久は部屋へと入るなり、至の横へと座り、体を密着させた。
そして、無言のままに、潤むような瞳で、至を見つめてくるのだった。
普段の性格は、姉よりも勝ち気なところがある美久であるが、いざセックスをしようとする時には、そう自分から口にしてくることはなかった。
ただ、あたしの気持ち、分かって欲しい、という感じで、体をすり寄せ、見つめてくるだけだった。
まだエッチに関しては不慣れなのと、至が初めての相手だからなのだろうか。
お前の気持ちは全部わかっている、というように、至は美久の首筋へと腕を絡ませて顔を寄せ、唇を重ね合った。
鳥のついばみを思わせるような、軽いタッチを何度も繰り返した後で、至はもう一方の腕を、美久の乳房へと当てた。
小柄な体と同様に小さいものではあるが、それは巨乳の姉と比較してのことであって、あくまでも平均的な中学生のサイズだ、と美久はいつも主張していた。
「あっ……」
服の上から、至の指先が乳首に触れた時、美久は切なげな溜息を漏らした。
「脱がすぞ……」
リードするような至の言葉に、美久は、こくり、と頷くだけだった。
自分で脱ぐことはせず、兄に脱がせてもらうことで、少しでも甘えたい気持ちを満たそうとしているかのようだった。
上着に続けて、スカートを脱がすと、真っ白い下着だけを身につけた、小柄な美久の姿が、さらけ出される。
「可愛いよ。美久……」
そう言って、再び至は口づけをする。
妹の顔を、愛情を込めて見つめつつも、手は器用に動き、美久の飾りっ気のないブラを外していく。
「横になって」
耳元で、至が囁く。
ベッドに仰向けになりながら、美久は脱がしやすいようにと、腰を持ち上げた。
両足の合間へと、至は体を押し入れ、ブラと同じ白いパンツへと手を掛けた。
すっ、とベールが外され、美久の秘密の部分が、露わになる。
それまで、美久の全身を見守るように見下ろしていた顔が下がったかと思うと、股間へと近づいていった。
「あ……」
至の情熱のこもった吐息が、敏感な部分へと掛かってくるのが感じられる中、美久は足をさらに開く。
至の目の前には、まだほころび掛けとも言える、控えめな割れ目が姿を現したのだった。
顔を近づけ、馥郁(ふくいく)たる妹の部分を嗅ぎながら、至は舌先を、幼い蕾へと伸ばしていった。
「ああ、お兄ちゃん」
至の舌先に、まだ固さが感じられるような、小さな入り口が当たってくる。
兄にしか許したことのない、美久の秘密の入り口。
念入りに、まるでマーキングをするかのように、至は舐め続けているうちに、その部分から、とろりとした粘液が溢れてくるのが感じ取れた。
自然と、舐める音にも、秘めやかさを思わせるような、粘り気のある、ぴちゃりとした音が混じってくる。
「ああ、恥ずかしいよ」
美久は両手に顔を当てて、いやいやをするように首を振った。
だが、両足は開いたままで、それになにより、湧き出てくる愛液の量は、だんだんと増えてきていた。
そろそろ潮時かな、と至は思った。
至は腰を進め、十分に濡らした割れ目の入り口へと、己の尖ったものを近づけていく。
「いくぞ、美久」
ひくひくと蠢く部分へと、それを満たすかのように、至のものが、ずぶり、ずぶり、と入り込んでいく。
まだ小さな割れ目は、その入り口を一杯に広げて、愛する兄の愛おしい部分を、必死になって受け入れていた。
「ああ、お兄ちゃんのがいっぱい……」
嬉しそうな顔で美久が笑みを浮かべると、それに合わせるように、至のものを受け入れている部分は、きゅうきゅうと締め付けてくるのだった。
至は体を倒し、両手を美久の両脇へと起き、上体を近づけていった。
お互いの熱気が感じられる中、至は美久の顔を見つめつつ、腰を前後に動かし始めた。
「ああ、お兄ちゃん。お兄ちゃんのが、あたしの中に入ってきてる……」
その動きは、ゆっくりとしたものだった。
ペニスの挿入、というよりかは、美久の体を内側から撫でている、そうとでも言った腰つきだった。
「ああ、美久、気持ち良くなってきたよ。お兄ちゃんのオチン○ン、気持ち良いよ」
まだ男女の行為に不慣れな美久は、セックスで絶頂に達することは少ない。
それは至も意識しており、無理にイカせようとしたりはせずに、ただ美久に気持ち良くなってもらえればいい、という気持ちだった。
花が綺麗になっていくのを見守っているかのように、至は腕を折り曲げ、なるべく体重を掛けないようにしつつ、美久の体に覆い被さった。
重たいかな、と心配するものの、兄の温もりを直に感じている美久の顔は、いつも嬉しそうだった。
そんな密着をさらに高めようと、至は妹の小さな唇へとキスをする。
「ん……」
キスをすると、その声が聞こえなくなってしまうのが残念だが、それを補って余りあるような一体感が、唇を通じて感じられるのだった。
ピストン運動を繰り返す至の下で、小柄な美久の体が、びくん、びくん、と震える。
このままいつまでも抱きしめてやりたい、そう思ったと同時に、男としての欲望が、そんな兄の思いを変化させた。
ペニスの根本が圧迫され、射精が迫る。
至は、キスをしたままに、美久に射精を伝えるように、力強く抱きしめた。
それに合わせて、至の背中へと回っていた美久の腕にも、力が入る。
密着し、一つになった所へと、その結合を形にするかのように、至の精液が、美久の中へと移っていったのだった。
「ん……」
キスをしている二人の呟きが重なり合う。
びくり、びくり、と二人の体が震え合う。
ぴたりと貼り付いた体同士が密着し合う。
「お兄ちゃん。大好き」
「ああ、俺もだぜ」
わずかに唇を離してそう言い合うと、もう言葉は無用とばかりに、二人はまた唇を重ね合ったのだった。

その晩、遅くのこと。
「たらいまー、お姉さまのお帰りらぞー」
玄関がばたんと開かれるなり、足をふらつかせながら、翔子が入ってきた。
「お帰り、翔子ねぇ。また酔っぱらって。どうせ、男を相手にせずに、酒ばっかり飲んでたんだろ」
「ふっふっふ。酒に溺れる日もあったー、ってね。はい、これお土産」
そう言って翔子は、この二十一世紀には絶滅したとされる、お寿司を箱に入れて、紐でぶらさげたものを手渡してきた。
「こりゃそうとう酔っているな。おーい、美久も手伝ってくれ」
返事があって、美久が玄関へとやってきた。
危なげな足取りの翔子を左右から抱えて、二人は廊下を歩き、階段を上っていった。
そして、ようやく昇り終えた時、
「あっ」
翔子の体が後ろに倒れ、釣られて二人も階段を転げ落ちていってしまったのだった。
どしん、どしん
体へと壁や階段がぶつかってくる感じがして、最後には一階の廊下に体が打ち付けられ、三人の体は重なるようになった。
その合間に、三人は意識を失っていったのだった。

「こんなこと、本当にあるのかねえ」
翌朝、意識を取り戻した三人は、体に起こった異変に気付き、揃ってリビングに集まっていたのだった。
「これ、どう見ても、翔子ねぇの体だもんなあ……」
そう呟いたのは、翔子の体だった。
「でしょでしょ。やっぱりそれって、わたしの体だと思うの」
そう言ってくるのは、美久の体だった。
「お兄ちゃんがお姉ちゃんになって、お姉ちゃんがあたしになって、あたしがお兄ちゃんになったの。もう、なんだか分からないよ」
そう叫ぶのは、至の体だった。
美久の言う通り、目を覚ました三人は、それぞれ体が入れ替わっていることに気付いた。
至は翔子の体に、翔子は美久の体に、美久は至の体へと。
「これってやっぱり、階段から落ちたのが原因かな?」
なんとか現状を把握しようと、翔子(至)は呟く。
「やっぱりそれしかないわねえ」
美久(翔子)がそれに頷く。
「そんなマンガみたいなことってあるの?」
至(美久)は、まだ現状が把握できていないように、困惑の声を口にする。
「ってことは、もう一度階段から三人で落ちれば、元に戻るってことかな。
どうする、怪我をしないように、下に布団でも敷いてやってみようか」
「それもいいかも知れないけれど……
元に戻る前に、色々とやっておきたいことがあるんじゃないかな?」
いつも翔子がする、人差し指を斜めに持ち上げて首をちょっとかしげるポーズを、美久(翔子)は取った。
年上の翔子がその仕草をすると、半ば命令のように思えていたのだが、年下の美久がすると、それはおねだりのように見えた。
「色々って?」
肉体年齢としては一番、年上になってしまっている翔子(至)が尋ねる。
「色々は色々よ。いろいろ、いろいろ……えろえろ……エロエロ?」
後半の方は、ごまかすような口調で、美久(翔子)は呟く。
「体は変わっても、翔子ねぇは翔子ねぇだねえ……」
その翔子の姿になっている翔子(至)は、顔半分を手で押さえ、やれやれと言った感じで、首を振った。
「でも、二人だってエロエロには興味があるでしょ?」
「まあ、それは……」
翔子(至)と至(美久)は、一瞬ちらりと目が合い、すぐに恥ずかしがるように視線を逸らした。
「それじゃあ、決まりね」
美久(翔子)は、ぱん、と手を叩く。
「まずは自分の部屋で、お昼まで自由行動よ。英語で言えば、フリーダムにセルフサーチングね」
言うなり立ち上がり、美久(翔子)は、二人の両手を引っ張り、二階へと駆け上がっていった。
そのまま、美久(翔子)が自分の部屋へと入ろうとした時に、
「あ、この場合、誰がどの部屋に入れば良いのかな?」
困ったような顔をして、二人に言ってきた。
「やっぱり、心の方の部屋じゃないかな?」
青年男性として、見られては困るものが色々とある翔子(至)が言う。
「体の方の部屋が良い!」
兄の部屋に一人で入ってみたい至(美久)が、手を上げながら言ってくる。
「わたしも、体に合わせた方がいいな。それじゃあ、2対1で、決定!」
言うなり美久(翔子)は、戸惑っている翔子(至)を、翔子の部屋へと押し込めた。
「ああ、翔子ねぇ……」
ばたん、とドアが締められる。
廊下からは、残る二人が、部屋へと入っていく音が聞こえてきた。
「うーん……」
ドアを背にして部屋を見渡しつつ、翔子(至)は、人差し指でぽりぽりと頬を掻いたのだが、指先に触れてくる頬の柔らかさと、頬に当たる爪先の感触に驚いて、慌てて指先を離してしまった。
部屋自体は見慣れた、スポーツグッズに溢れるものだが、至の身長よりも低い、翔子の視点で見ているためか、不思議と部屋が広く感じられる。
翔子(至)は、ぐるりと部屋を見渡してから、その視線を胸元へと向けた。
そこには、見慣れているはずの翔子の胸の谷間が、いつも以上のボリュームでそびえていた。
(自分で胸元を見るって、こういう感じなんだ……)
いつもは正面から見ている谷間も、上から見ると、一層深くまで見通せるように思えた。
翔子(至)は、上着のボタンを外し、ブラジャーだけとなった。
Gカップのブラに包まれた翔子の乳房を見つめると、乳首の方向って、外側を向いているんだな、と至は思った。
その光景もさることながら、乳房にぺったりとスライムのようなものが貼り付いている感触と、肩の辺りが下へと引っ張られる感触は、男の胸では一生感じることのないものだった。
「巨乳だから肩が凝るって翔子ねぇは言ってるけれど、嘘じゃないんだな」
確かに、乳房に引っ張られている肩には、重しが載せられているような感じがしてくる。
肩こりとはこういうものなのか、と至は初めて知ったのだった。
じっと自らの胸元にある乳房を見つめていた至は、その場で、ぴょん、とジャンプをしてみた。
軽くつま先立ちした程度だったのだが、翔子の乳房は、まるでバネのように、ぷるん、ぷるん、と揺れるのだった。
「うわっ」
元々、男女では体の重心が違うせいもあるのか、翔子(至)は、乳房の揺れに釣られて、体を倒しそうになってしまった。
どうにか踏ん張って前のめりになると、さっきまで肩を引っ張っていた乳房の位置が変わり、今度は上体を下へと降ろそうとしてくる。
いつまでも、ドアの前にいることもないな、と思った至は、机の前にある椅子へと座って、手元にあった手鏡を持ち上げた。
鏡を覗き込むと、いつも見慣れた翔子の顔が、物珍しいものを見るような表情で、こちらを見つめてきている。
べー、と至が舌を出してみると、翔子も同じように舌を出し、右を向くと、釣られるように同じ方向を向く。
翔子(至)は、鏡を机に戻してから、背中に手をやった。
いつも翔子とセックスする時には、至がブラを外していたので、どうやって良いかは分かっているものの、それを自分の背中でやるとなると、上手くいくかどうか心配だった。
だが、女の方が体が柔らかいせいか、それともいつもそういう仕草をしているせいか、背中のホックへと指先はすんなりと届いた。
手探りで留め具を両脇から挟み、ちょっと力を入れて、ホックを外す。
それまで乳房を包み込むようにしていたカップの部分が緩み、やけに表面積の大きく感じられる乳房が圧迫感から解放されるのを感じるのと同時に、さっき感じていた、肩を引っ張られる感覚が、一気にずしりと伝わってきた。
ブラを外して見下ろすと、外側へと向かって、つんと尖っている乳房が見えた。
翔子とのセックスをした後に、甘えるように背中から抱きつき、肩越しに翔子の乳房を見たことはあるが、こうやって本人の視線から見ると、乳首が体の中心から、綺麗に左右揃って外へと向かっているのが見て取れる。
至は両手を乳房の下へと添えて、ゆっくりと持ち上げてみた。
触り慣れている翔子の乳房ではあったが、女の手になっているため、いつもよりも大きくて重たく、そしてひときわ滑らかに感じられた。
持ち上げると共に、胸元に貼り付いた柔らかいものが上へと動き、同時に肩への重さが消えていく。
ぎゅっと圧迫されながらも、綺麗な丸みを保ったまま、谷間を深くした乳房が見て取れる。
上まで持ち上げた所で、至は手のひらを離した。
途端、ぐいっ、と上体が下へと引っ張られるような感じが伝わってきた。
「おっぱいって、結構重たいものなんだなあ……」
感心したように呟くと、翔子の声が口から漏れた。
再び乳房へと手を当てた至は、今度は乳房の表面をなぞるように動かした。
手のひらからは、いつもの触り慣れた翔子のきめ細かい乳房の感触が、そして胸元からは、感じたことのないくすぐったさが伝わってくる。
男であれば何もないはずの場所――胸元からせり出した乳房――から、触られる感覚が伝わってくるのは不思議な感じだった。
その丸い形のように、胸元が膨らんで前に張り出している、とでも言えば良いのだろうか。
そんなことを考えつつ、初めて感じるくすぐったさを味わっていた。
それは、足の裏をくすぐられるのなんかよりも、よっぽど敏感に感じられた。
文字通り、大きな腫れ物を触っているかのような気持ちだった。
ただ、あんまり気持ち良い、ということはなかった。
いつもは、触る方ばかりに熱心になっていたのだが、こうやって翔子の体になり、触られる側になってみると、ずいぶんと違うもんなんだな、と至は思った。
至に乳房を触られている時の翔子の顔は、うっとりとしたものなのだが、慣れないくすぐったさの方が先に来てしまい、あまりそういう気持ちにはなれない。
そう思った至の意識は、いつもの愛撫の仕方に合わせて、わざと触らないでいた乳首へと向かった。
手のひらで乳房を押さえつつ、ボタンを押すようにして、乳首へと人差し指を当てた。
「ひゃふぅん!」
乳房の中心から伝わってくる、その周囲で感じていたくすぐったさとはまるっきり違う、ぴりぴりとした刺激に、翔子(至)は、思わず切なげな声を漏らしていた。
何の前触れもなしに、いきなり亀頭を触られたような快感が伝わってくる。
それも、亀頭を乳首の大きさに凝縮したかのように、小さな部分から、亀頭全体へ刺激があったように感じられるのだった。
「乳首の気持ち良さって、こんななんだ……」
茫然としたように、翔子(至)は呟いた。
男の体にも乳首はあるが、それとはまるっきり違っていた。
同じ形のものなのに、こんなにも気持ち良さが違うなんて、女の体って羨ましいな、と至は思った。
だが幸いなことに、今の至は、そんな女の体だけの特権を、いくらでも味わうことが出来るのだった。
今度は、両手の人差し指と親指を伸ばして、左右の乳首を挟んだ。
「あぁん!」
亀頭への刺激を縮めたようなぴりぴりとした快感が、左右同時に伝わってきて、思わず声を上げてしまう。
至は乳首を挟み込んだ指先を、じっと見つめていた。
その先には、さっき机の上に置いた鏡があった。
ちらりとその顔を見ると、いつも至に乳首を弄られて見せる、うっとりとしたような翔子の顔が映っていた。
(今の俺って、こんないやらしい表情をしているんだ……)
細い翔子の指先が乳首を弄る様は、至自身の指先で触っているのとは違う眺めだった。
(なんだか、翔子ねぇのオナニーをのぞき見しているみたいだな)
乳首から来る快感に酔いしれつつも、至はそんなことを思う。
指先で弄っているうちに、いつものように、乳首はだんだんと硬くなってきていた。
それに合わせるように、指先の動きに合わせて伝わってくる快感も、だんだんと高まっていく。
その高まり具合は、亀頭に比べればゆっくりとした感じなのだが、いきなり急上昇するのではなく、緩やかな坂を、いつまでも上っているかのような変化だった。
(そういえば、翔子ねぇの乳首って……)
乳首を弄りつつ、至は、以前、戯れに翔子にお願いしたことを思い出した。
いったん乳首から両手を離して、右の乳房を両手で絞り上げるように持ち上げて、そのまま先端にある乳首を口元へと近づけていく。
鏡に映る翔子の口から紅い舌先が伸び、寄ってきた乳首をぺろりと舐め上げる。
「んん……」
舌先に、こりこりとした感触が当たるのと同時に、乳首からは、亀頭を舐め上げられたような感じが伝わってくる。
(もう一度……)
今度は左右の乳房を両手で持ち上げつつ、近づいてくる二つの乳首へと、交互に舌を伸ばして、舐め上げる。
ぞわりとした快感が背筋を駆け抜けるのと同時に、鏡に映る翔子は、男の興奮を高めるような上目遣いのままに、乳首を見せつけるように舐めていく。
(翔子ねぇ。すっごくいやらしいよ)
初めて感じる乳首の快感に気を取られていた至だったが、自分が望む通りの淫らな姿をしてくれる翔子を見て、男としての欲望が高まっていくのが感じられた。
だが、男の欲望に応じるものは、至の股間にはなかった。
いつものように、血がたぎり、硬くなるものはなく、どうにも拍子抜けした感じだった。
だが、その代わりに、いつもとは違う反応が、股間に感じられるのだった。
男だったら硬くなっているはずの場所から、まるで大量の汗が噴き出したかのように、じんわりと濡れた感じが伝わってくる。
しかも、男のトランクスと違って、股間にぴったりと貼り付いている女物のパンツは、ぐっしょりと濡れた感じを増幅させてくる。
思わずもじもじと翔子(至)が腰を動かすと、まるで股間に切れ目が入っているかのように、足の動きに合わせて、股間を形作っている肉が動き、その合間から、絞り出されたかのように、ねっとりとした体液が漏れ出ていくのが感じられる。
翔子(至)は、下半身を見つめてから、スカートを脱いだ。
パンツ1枚になった股間を見ると、その正面部分は、まるでお漏らしをしたかのように、丸い染みが出来ているのだった。
そんな光景は、義理の姉とのセックスの際に、何度も見慣れているものであるが、それが自分の股間だとなると、話は違ってくる。
至は、股間の濡れた部分へと、指先を伸ばした。
「んっ!」
指先に湿った下着の感触が伝わるのと同時に、股間からは、傷口を触られたかのような、鋭い刺激が伝わってきた。
だが、刺激と言っても、痛みではなかった。
触れた指が、やたらと敏感に感じられる、そんな刺激だった。
一度離してしまった指先を、至はもう一度当ててみた。
「ん……」
さっきよりもはっきりと、触られている感が伝わってくる。
指先に、下着の布地越しに割れた肉襞の形が感じられるのと同時に、触られた方の女肉が蠢き、ぴくりと痙攣するような動きをしてくるのが感じられる。
指の腹を当てたまま、上下に動かしてみると、下着の中に隠されている、膣の割れ目がはっきりと感じられる。
なぞり挙げるように指先をさらに挙げていくと、
「ひゃふんっ!」
割れ目とは違う、針を刺されたかのような、それでいて痛くないような刺激が突然襲ってきた。
「これって、クリトリス、だよな?」
女の体が感じる場所、ということは分かっていても、それがどんな感じなのか、初めて実体験であった。
指先は離しているが、一度触られた感じが残っているのか、股間の一点から、痺れるような刺激――疼きが感じられる。
翔子(至)は、意を決するように、こくり、と頷いてから、パンツの両脇へと手を掛け、するりと降ろしていった。
股間の前を覆っている部分が捲られると同時に、それまで布地と股間の合間に溜まっていた愛液が空気に触れ、ひんやりとしたクーラーの冷気を伝えてくる。
そのまま下着を降ろすと、つぅい、と透明な糸が、下着と股間の合間に伸びるのが見て取れた。
下着を足下へ通し、身を覆う物は何も無くなった所で、至は改めて、今は自分のものとなっている、翔子の体を見下ろした。
股間を見るつもりだったのだが、まず目に入ってきたのは、胸元にある大きな膨らみだった。
いつも見慣れた正面からの眺めに比べると、乳房の中心ではなく、張り出した先端にある乳首へと目がいってしまう。
正面からではあまり気付かないのか、いつも以上に乳首が勃起しているように見える。
至は、さっきから空気にさらされて、その割れ目を自己主張している股間を覗き込もうと前のめりになったのだが、まるでそれを邪魔するかのように、上体が倒れるのに合わせて、乳房も前へとせり出し、視界を遮ってくる。
どうしたものかと思った至は、机の上に置いた小鏡のことを思い出した。
翔子(至)は椅子へと座って両足を軽く広げてから、手にした鏡を、股間の前へとやった。
小さな鏡いっぱいに、見慣れた翔子の陰毛とクリトリス、その下で濡れた愛液にまみれた股間が見えたのだった。
至自身の体で翔子とセックスする度に見ているものではあるが、翔子の体になり、それを鏡を使って見ていると思うと、奇妙な背徳感が湧き起こってくる。
男の体であれば、自分の性器なんて何もしなくても見られる。ところが女の体だと、奥まった所にあるため、自分のものを見るのにも、鏡を使うなどしなければいけない。
まさに、秘所という言葉がふさわしい、と言う部分なのだ。
それを、今の至は、翔子の体に入って、その見づらい部分を見つめている。
鏡に映っている翔子の秘めた部分を見つめているうちに、男として女の大事な場所を覗いている背徳感以外のものが、感じられた。
それは、恥ずかしい部分を見られている、という羞恥心だった。
姉の翔子はあまりそういうことは無いが、妹の美久とセックスをして股間を見つめる時には、美久はやたらと恥ずかしがるのだった。
その心理を、至はようやく理解した気になった。
自分では見づらい場所へと、至が易々と顔を近づけて、まじまじと見つめてくることは、自分の体を、自分以上に見られていることを意味するのだ。
そう思うと、翔子の体になって、鏡を使って自らの股間を見ていることが、物凄く恥ずかしいことのように思えてくるのだった。
しかし、男としての至の意識は、そんな恥ずかしさすらも、興奮を増す要素に変換してしまうのだった。
至は鏡の位置を動かして、茂みの下で尖っているクリトリスから、その下にある大淫唇と小淫唇、さらには、割れ目から溢れた愛液が椅子へと作り出した水たまりまでを見つめていった。
その鏡と股間の合間へと、翔子の細い指先が割り込んでくる。
至の無骨な指で翔子のクリトリスは何度も触ってきたが、翔子自身の指先で触るのは、もちろんこれが初めてのことだった。
ゆっくり、ゆっくりと、股間にある女の突起へと、指先が伸びていく。
「んぅふっ……」
指先が触れると同時に、さっき感じた針を刺されたのをより強力にしたような感じが伝わってきて、至は意味不明の言葉を漏らしてしまう。
その感じは、ペニスを触るのとはまるっきり違っていた。
男のものと違って、触られた表面だけでなく、その一点を中心にして、体の内側へと快感の振動が広がっていくかのようなのだ。
「も、もう一度……」
初めて感じる、女の未知の快感に対する戸惑いを収めるようにそう呟いてから、至は翔子の指先を再び伸ばした。
「んふっ!」
小さな一点にしか過ぎない場所のはずなのに、まるで全身を揺さぶられるかのような快感が湧き起こる。
体中が敏感になってきて、全身がしっとりと汗ばみ、そこへクーラーの冷気があらゆる皮膚の部分をくすぐってきているかのような感じになる。
翔子(至)は、鏡を見つめたまま、クリトリスをこりこりと転がした。
「あぁん……あはっ。ああ、クリトリスって、チン○ンとまるっきり違うんだ……」
初めての、それも男を上回る快感を味わいつつ、至はそんな翔子の体を、もっと味わいたいと思った。
左手で持っていた鏡を机の上に置き、乳房を鷲づかみにし、手のひらの中心を乳首へと押し当てる。
「んん……クリトリスも乳首も、気持ち良い……。翔子ねぇの体って、女の体って、なんていやらしくて、気持ち良いんだ……」
ペニスしか感じる場所の無い男の体とは比べものにならないほどに敏感な女の全身を感じているうちに、至は割れ目の部分が、ヒクヒクと動くのが感じられた。
その感じは、男の体でオナニーをしているうちに、だんだんと射精をしたくなってくる気分に近かった。
違うのは、射精とは逆に、体の内側へと刺激が欲しい、ということだった。
女の性器が、欲望が、空腹感を感じている、とでも言えば良いだろうか。
とにかく、いやらしい蜜で溢れている部分が、刺激を求めて疼いて堪らないのだ。
至は、クリトリスを弄っていた指先の動きを止めて、しばしの間、考えた。
翔子とセックスをしている時には、すぐにでも指先を入れていたろうが、それを自分の体に入れるとなると、ちょっと度胸が要った。
だが、女として何かを早く挿れて欲しいという欲望は、男としての至のためらいを上回っていた。
翔子の体を操っているのは、男としての至の意識なのか、それとも女としての翔子の本能なのか、分からなくなっていた。
それに、挿れられる感じはどんなだろうか、という好奇心も、至の心にはあった。
結果、指先が割れ目の入り口へと当たる。
細い指先は、ぐっしょりと濡れた中へと、まるで引き込まれるように入っていった。
(これが、挿れられるって感じなんだ……)
指先が入ってくるのに合わせて、膣の肉が動き、きゅうきゅうと締め付けるように蠢くのが感じられる。
それは、もっと刺激を、もっと快感を、と訴えているかのようだった。
至は、人差し指に添えるようにして、中指も入れた。
入ってきた二本の指の形をなぞるかのように、股間の膣肉が動き、指先へと貼り付いていく。
二本の指先を揃えながら抜き差しすると、くちゅり、くちゅり、と淫らな水音と共に、股間からは、求めていたものが満たされる感じと、もっと刺激が欲しいという感じが、綯(な)い交ぜに感じられるのだった。
「ああ、翔子ねぇのマ○コ……くちゅくちゅ言って、指先に絡みついてくるぜ……」
いつも言う台詞を、翔子の口で言ってみると、荒っぽい男の口調をした翔子の声に、思わず至は興奮してしまう。
指の出し入れだけでは我慢できなくなり、膣中を探るようにして、指先を広げたり閉じたりする。
それに合わせて、膣の中へと空気が入ってきて、新たな刺激を産みだしていく。
同時に左手は、女の手には余るサイズを持つGカップの巨乳を持て余し気味に鷲づかみつつ、その中心にある乳首を刺激する。
股間では、人差し指と中指で膣内を刺激しつつ、親指でクリトリスを圧迫する。
女の体でしか味わうことの出来ない、複数箇所の性感帯同時責めをするのと同時にされる身になっている至は、全身の力が抜けて、快感に変わってきてしまったかのようになってきた。
体を支えることもできずに、机に俯せになるようにすると、ちょうど顔の前に、さっき置いた鏡があり、翔子の顔を映し出していた。
とろんとした瞳、火照った頬、荒い息をする口。
そんな淫らな顔が、映し出されているのだった。
(これが、今の翔子ねぇの顔。俺の、顔……)
そう思った途端、体の中心に火がついたかのような感じが襲ってきた。
その火はだんだんと体中に広がっていき、全身を快感が包み込んでいく。
単純に、快感が大きくなっていくだけではなく、まるで、それに続けて何か、まったく違ったことが起こりそうな予感がした。
(これって……女のイクって奴か?)
男として、女を、姉を、翔子をイカせたいと思うのと同時に、男として未知の感覚に恐れを感じる意識もあった。
だが、女の快感に対して、すでに男としての至の意識は麻痺してしまっていた。
乳首とクリトリス、膣へと当たっていた指先が、まるでプログラミングされているかのように勝手に動き、至を女の絶頂へと導いていく。
そして、体の中に点っていた火は、一気に集まり、体の中で爆発したのだった。
「イクっ、イクっ、イクぅぅぅぅぅ!!!!!」
叫びつつ、至の意識は、快感の荒波へと巻き込まれていった。
全身から力が抜け、乳房から手が離れ、膣から指が抜ける。
だが、翔子(至)の体は、まだ焼けた炭のように、快感の熱を保ったまま、じりじりと燃え続けていた。
(凄い。女の快感って、男と違って射精の一瞬だけじゃなくて、こうやってずっと続くんだ)
鏡に映る、惚けたような翔子の顔を見詰めつつ、至は女としての絶頂の余韻を味わい続けたのだった。

「ふーん、これが美久の部屋なんだ」
妹の美久の体になってしまった翔子は、至の部屋とは違い、あまり入ることのない妹の部屋に入って、辺りを見回していた。
中学生にしては身長の低い方に入る美久の体になってみると、その視線が低く感じられるが、同性ということもあって、翔子の体になってしまった至ほどには、自分の体には興味がなかった。
むしろ、ぬいぐるみが並べられたファンシーな部屋に、姉妹だけあって、同じような趣味を持っていたかつての自分を懐かしむような思いに駆られていたのだった。
「あ、このわんちゃんのぬいぐるみ、わたしも似たようなもの、持ってたっけ」
手近にあった犬のぬいぐるみの背中を持ち、美久(翔子)は、人形を操るように胴体を動かした。
そのぬいぐるみを、元の場所にきちんと戻してから、美久(翔子)は、部屋の隅に置かれた姿見の前へと立った。
「これが今のわたしってことか」
鏡に映る姿は、見慣れた実の妹の姿であり、数年前の自分に似た姿でもあった。
「わたしの体になったいーくんとか、いーくんの体になった美久に比べると、なんだか割に合わないような気がするわね」
元々、入れ替わってしまった自分の体を確かめたと言い出した美久(翔子)であったが、異性になってしまった至と美久に比べると、自分は同性の妹になってしまっただけであり、なんだか損した気分になってしまう。
「ま、ここは気を取り直して、美久の体を点検といきましょうか」
そう呟いてから、妹であり同性という気楽さもあって、すぱぱぱぱ、と美久(翔子)は、着ている服を脱いで、全裸になったのだった。
「ふーん、これが美久の体か」
鏡を覗き込みながら、美久(翔子)は、同性としては一番気になる、バストの大きさへと目が向かうのだった。
「ま、中学生にしては、平均サイズと言ったところね」
Gカップを誇る翔子に対して、妹の美久は、Bカップとごく普通のサイズだった。
美久としては、母と姉が巨乳だから、自分もいつかはかならずそうなると言い張りながら牛乳を毎日飲んでいるのだが、内心ではその差が縮まらないことに苛立ちを感じているようだった。
バストから目を離して、翔子は全身へと視線を移した。
体のラインや腰つきなどは、姉妹だけあってよく似ていた。
美久(翔子)は、手のひらを、顔へと当ててみた。
「うむむ、やっぱり若いだけあって、肌に張りが感じられるわね。お肌の曲がり角は二十歳って、本当なのかしら? 化粧がいらないって羨ましいわね」
指先で、頬を撫でるようにしながら、翔子は、同性でも滑らかに感じられる肌触りを感じたのだった。
「ま、でも、ここはわたしには敵わないけれどね」
ちょっと感じてしまった劣等感を打ち消すかのように、翔子は、胸元へと手をやった。
いつもならば、ブラジャーを着けていても、ずしりとした重さが伝わってくる胸元からすれば、まるでそこだけが無重力状態にでもなってしまったかのようで、重さから解放されたかのようだった。
「うわっ、貧乳って本当に軽くて良いわね」
美久が聞いていたら、『あたしは普通サイズよ』と目をつり上げて言い返してきそうな台詞を呟きつつ、翔子は胸元の身軽さを味わうかのように、両腕を折り曲げながら、振り向くように上体を左右へと動かした。
それから、サイズを確認するように、手のひらを乳房へと当てた。
「ほんとっ、小さいわね」
手のひらにすっぽりと収まってしまう妹の乳房を感じつつ、翔子は慣れない感じに、わしわしと乳房を触ってしまう。
「ん……」
細い指先が動く乳房から、じわりとしたくすぐったさが伝わってくる。
それは、感じ慣れている、乳房を揉まれる快感なのだが、いつも以上に早く、そして敏感に感じられた。
「やっぱり、おっぱいって大きい方が鈍感なのって本当なのかな?」
美久(翔子)は、気にしていることを口にしていた。
至とセックスする時に、まずは乳房を揉まれるのだが、いきなり感じるということはなかった。
その大きさに比例するかのように、揉まれていく度にだんだんと感じるようになっていき、ゆっくりゆっくりと感度が上がっていくのだった。
それに比べると、今の体である、美久の乳房は、やけに敏感だった。
「ん……感じるって言うか、すっごく、くすぐったいって言うか……」
乳房を這う指先は、翔子の巨乳以上にはっきりと感じられる。
指先の一本一本から、その腹に押されて圧迫される乳房の感触まで、鏡に映るままに、はっきりと感じられる。
翔子の乳房も興奮してくれば、敏感になってくるものの、美久のものは、まだ触ったばかりだと言うのに、それを上回っていた。
その感度と合わせて違うのは、敏感さこそ美久の方が上回っているのだが、快感の度合いとしては、翔子自身の乳房の方が上だ、ということだった。
「気持ち良さは、わたしの方が上かな?」
サイズ以外にも、女性の体として開発されているかどうか、という違いがあるのかもしれないな、と翔子は思った。
この春に至と一緒に住むようになり、それからしばらくして、翔子は至の筆下ろしをし、美久は至へと処女を捧げたのだった。
性経験としては、翔子の方がずっと上のはずだ。
女の体は、経験する度に開発されていくというから、敏感さでは美久の方が上でも、それを快感と感じる度合いとしては、翔子の方が上なのかもしれない。
乳房を触られる気持ち良さ、というよりかは、強烈なくすぐったさ、というものを、鏡に映る、乳房を揉みしだく美久の姿を見ながら、翔子は感じているのだった。
(なんだか、初めてオナニーした時みたい……)
そんなことを考えながら、翔子は小さな、それでいて敏感な美久の乳房を揉み続けていた。
翔子の脳裏へと、初めてオナニーした時のことが思い浮かぶ。
あれは、小学生高学年の頃、クラスメートから、自慰という行為を知らされた日の夜、自らの乳房を揉んだ時のことだった。
それまで、男子から好奇の目で見られ、恥ずかしいとしか思えなかった乳房を揉みつつ、こんな感じがあるなんて、と驚いたのだった。
その時点でも、翔子の乳房は今の美久よりも大きかった。
(わたしが、もっと子供の頃にオナニーしていたら、こんな感じだったのかな?)
膨らみかけ、と言ったほどの美久の乳房を揉みつつ、翔子は強烈なくすぐったさを感じていた。
そして同時に感じる、新鮮な感じ。
手のひらに感じる乳房の小振りさは、まさに若返った、という今の翔子の状態を表すのにふさわしかった。
手のひらにあまるほどの翔子の乳房に比べて、すっぽりと収まる美久の乳房は、指先の動きを全体で感じ取っていた。
「あはぁ……」
いつしか、美久(翔子)の口からは、甘い溜息が漏れていた。
(ああ、なんだか……感じてきたみたい……)
強烈なくすぐったさと感じていたものが、いつの間にか快感へと変わってきていた。
全身をなぞられるようなくすぐったさはそのままに、それに上書きをするかのように、気持ち良さが乳房から伝わってくる。
そうなってくると、いつもの巨乳で感じる愛撫とは違った感じが強調されるようになってきた。
普段であれば、乳房の一部が揉まれるだけだが、今は、乳房全体がすっぽりと手のひらに覆われている。
指先を動かせば、左右の麓から先端の乳首までが、同時に刺激される。
こんな感じは、翔子の巨乳ではあり得ないことだった。
(おっぱいが小さいのも、結構良いかもね)
美久が聞いたら、それって皮肉? とでも言いそうなことを翔子は感じていた。
手のひらに包まれた乳房全体が感じる中でも、ひときわ感じている部分があった。
それはもちろん、中心にある乳首だった。
ただ、その感じ方は、もはやいつもの翔子以上だった。
「ああんっ、乳首って、こんなに感じるんだ……」
いつの間にか乳房を揉むのを止めて、乳首を弄り始めていた指先からは、ぴりぴりとした快感が伝わってくる。
その感じ方は、いつも以上にストレートに感じられた。
翔子本来の巨乳としては、それが当然だと思っていたのだが、この美久の体に比べると、乳首を触られてから、それが快感に感じるのに、ワンテンポ、間があったかのように思えるのだ。
それに比べると、この美久の乳首は、指先の感触を、すぐに快感へと変えて、翔子へと伝えてくる。
大きな乳房が、脂肪の塊として邪魔をしていたのではないか、と思えるぐらいに、指先の動きが瞬時に感じられる。
それだけでなく、いつしか気持ち良さ自体も、翔子が普段感じているものを上回るようになってきていた。
「あはっ、乳首、気持ち良い……」
いつもの巨乳から比べれば、ひときわ大きく見える乳輪と乳首を摘みつつ、美久(翔子)は、体をよじらせ、身をくねらせる。
さっき、美久の体の方が開発されていない、と思ったのは、間違いだったかな、と翔子は思う。
ひょっとしたら、若い分だけ、こっちの体の方が敏感で、感じやすいのかもしれない。
それに、感じ方もいつもと違っていた。いつもは、乳首への刺激は、乳房全体にじわりと広がっていくのだが、この体は、乳首からダイレクトに脳裏へと伝わってくるのだ。
「ああ、良いよ。美久のおっぱい、わたしとまるっきり違う……美久って、こういう風に感じているんだ。こうやって、オナニーで、セックスで感じているんだ……」
思わず呟いた、セックスという言葉に、体の一部が反応するのを翔子は感じた。
それまで、初めて感じる美久としての乳房ばかりに集中していた意識が、セックスをする器官――股間へと移ったのだった。
いつの間にか、そこは熱くなり、じわりと濡れていた。
同性だけあって、なんども感じてきた反応ではあるが、妹の体としての反応には興味があった。
美久(翔子)は、部屋を見渡して、ベッドの枕元にあった小さな鏡を手にして、ベッドへと座り、股間を広げ、その先へと鏡を置いた。
こうやって、鏡を置いて自分の股間を見るのは久し振りのことだった。
オナニーをし始めた頃には興味本位で鏡を置いて、自分のものをまじまじと見つめたことがあったが、やがてセックスをするようになってからは、そうすることもなくなった。
たまに、至とのセックスの最中、背面座位を取っている最中に、見せつけるように鏡に二人の淫らな姿を映し出され、それを見せつけられた際に己の股間を見つめてしまうのが、せいぜいだった。
そういう意味でも、己の股間を鏡で見つめてみるとは、翔子にとっては懐かしさのこもった行為でもあり、そして、他の女性の性器を見つめるという、珍しい行為でもあった。
妹のものであり、今は自分のものである性器を、ドキドキとしながら、美久(翔子)は、鏡へと映し出した。
小さな鏡へは、翔子のものに比べると、まだ幼いとも言える整った感じのした、陰毛と割れ目が見えた。
「へー、こうなっているんだ。わたしの昔のものと、あんまり変わらないわね」
妹のものを見て、自分のものとあまり変わらないのを確認して、翔子は妙な安心感を得たのだった。
男に比べて、女性の方が、自分の性器の形は変なのではないか、と思うことは多いものだ。
ましてや翔子は、実の妹である美久ともセックスをしている至に性器を見られているのだ。
その形があまりにも違っていたら恥ずかしいと思っていたのだが、こうやって実際に見てみて、あまり違わないのに安心した訳である。
そう思ったところで、翔子は改めて、まじまじと美久の性器を見つめた。
よく見てみると、やはり違っている部分もある。
ハイレグの水着を身につけるために剃りを入れている翔子の陰毛に比べると、手が入れられておらず、生え具合もまだ淡く、若い感じがする。
その下にあるクリトリスも、包皮に覆われており、先端部分がわずかに出ているだけだった。
割れ目も部分にしても、小淫唇はあまりはみ出ておらず、ちょっと羨ましいな、と思ってしまうほどだった。
濡れ具合にしても、翔子ほどには濡れておらず、まるで、至に舐めてもらって、潤滑液を補充してもらうのを待っているかのように見えた。
しばらく見つめて、頭の中で自分のものと見比べたところで、美久(翔子)は、その股間へと指先を伸ばした。
こうやって、股間を触ろうとするのは、久し振りのことだった。
いつもは、至とのセックスで性欲は満足していたので、自らオナニーをすることはここしばらくなかった。
そんな、しばらく振りのオナニーに加えて、指の先にあるのは、見慣れた自分のものではなく、中学生という若さと幼さを感じさせられる、美久のものなのだった。
翔子は、まるで初めて性器に触ろうとするかのように、心臓が激しく動くのを感じるのだった。
鏡に映る指先が、まだ包皮に包まれたクリトリスへと当たる。
「あぁん!」
指先に柔らかい感触が伝わるのと同時に、びくん、と全身が震えるのが感じられた。
「これが、美久のクリトリスの感じなの?」
そう思わず呟いてしまうぐらいに、いつもの感じとは違っていた。
翔子の体であれば、そこを中心に全身へと快感が伝わっていくのだが、美久の場合だと、背中を通って、クリトリスから頭が、ダイレクトに繋がって、そこを快感が走ってくるかのようなのだった。
ちょうど、乳房を触っていた時に感じたように、快感が瞬時に伝わってくる感じなのだ。
「ふーん、美久って、こんな風に感じるんだ。女の体って、人によって感じ方って違うものなのね」
違うのは、伝わり具合だけではなかった。
まだ触られ慣れていないのか、乳房と同様に、快感とくすぐったさが、同時に湧き起こってくるのだった。
「ん、くすぐったいけれど……なんだか昔のわたしを思い出すみたい」
若い突起を触りつつ、翔子は初めてのオナニーを思い出していた。
男とは違う、小さな尖った部分を、初めて触った時の、後ろめたさ、そして、それを瞬時に消し飛ばしてしまうほどの強烈な刺激。
くすぐったい、と思ったものの、それを止めることは出来なかった。
体と好奇心が求めるままに触っていくうちに、それは、初めて感じる、女の快感へと変わっていったのだった。
そうやって、美久の若いクリトリスを触りつつ、自らの初めてのオナニーを思い出しているうちに、美久の体は、初めてのオナニーの時以上に、敏感に、そして女としてはっきりとした反応をしていたのだった。
その下にある割れ目が、じわりと熱くなり、炙られた蝋燭のように、とろりとした液体が垂れ落ちてくる。
そんな反応を見つつ、翔子は初めてのオナニーのことを思い出していた。
あの時には、もちろん処女で、クリトリスを触っているだけで頭の中は一杯になっていて、股間に指を入れるまでには至らなかった。
ナプキン派の翔子にとっては、割れ目に指を入れたのは、クリトリスを触ってから数週間後のことだった。
まだ若い美久の割れ目は、翔子からすれば、まだ男のものを知らない処女地のように見えた。
もちろん、美久はその処女を至へと捧げたのは翔子も知っているが、自分のものとは違う光景を目にすると、初めて股間に指を入れた時の興奮が甦ってくるかのようだった。
ドキドキとしながら、翔子は人差し指を伸ばし、割れ目へとその先端を向けた。
鏡を見つめつつ、その指先を、入り口へと押し当てた。
指先に、湿った肉の感触が伝わってくる。
「ん……」
指先が、滑った膣襞へと包み込まれていくのが感じられる。
その感触には、どことなく入ってくるものを拒んでいるかのような抵抗が感じられた。
やがてそれは、細い人差し指を挟み込んでくるような締め付けの感触によるものだと翔子は思った。
まだ人差し指の第一関節までを入れたのに過ぎないのに、膣口は入ってきたものを力一杯締め付け、同時に股間からは、膣が膨れるような感じがしてくるのだった。
その感じは、初めて自分の股間に指を入れたのとも違っていた。
「……美久の挿れられる感じって、こういうのなんだ……」
翔子はまたしても、同じ女の体でも、感じ方が違うんだな、と思うのだった。
人差し指をさらに進めて、第二関節まで入れると、自分のものに比べると、硬いというか、あまりほぐされていないと言った膣襞の感触が伝わってきた。
一言で言えば、ずいぶんときつく感じられるのだった。
女の細い人差し指が一本入ってきただけでもこんなに強烈に感じられるのだったら、至のものが入れられたら、どんなに感じるだろうか、と翔子は思う。
入れられている感じだけでなく、指先に伝わってくる感じも、翔子のものとはずいぶんと違っていた。
翔子の場合は、指先を撫でるように膣襞が動いてくるのだが、美久のものは、中心に向かって締め付けてくるように力が伝わってくるのだった。
その感じは、処女を失ってから、まだ間がないのだな、と思わせるかのようだった。
入れた指先をさらに進め、根本まで入れると、そこから伝わってくる圧迫感は、さらに強烈なものになった。
まるで、膣を入り口にして、背中にまで突き刺さるような杭を埋め込まれているような感じなのだ。
翔子の体では、そんなことはなかった。
指先を一本入れられれば、すぐさま新しい刺激が欲しくなり、続けて二本、そしてペニスを、と求めてしまう。
ところが、美久の体は、指先一本でも、強烈な充足感が襲ってくるのだった。
美久の人差し指だけですらこうなのだから、こんな場所に至のペニスが入ってきたら、どうなってしまうのだろう、と翔子は思ってしまう。
こんな圧迫感は、久し振りのことだった。
翔子の体で至のペニスを受け入れてもこんなには感じないだろうと思うと、ひょっとして自分のものは緩いのではないか、と思うものの、これはまだ、美久の体が処女を失って間がないからだ、わたしも昔はこうだった、と翔子は自分に言い聞かせた。
そんな、懐かしさを思わせる圧迫感を感じつつ、翔子は入れていた人差し指を引き抜いた。
するり、と人差し指はあっさりと抜け出たが、そうすると今度は、さっきまで感じていた圧迫感を裏返したかのような、喪失感が湧き起こる。
翔子は抜いた指先を、再び膣の中へと入れた。
全身を内側から膨らませるような満ち足りた感じが、美久(翔子)を襲う。
「ああ、これが美久の感じ方……」
翔子は入れた指先を動かしたりせず、まるでその締め付け具合を確かめるように、深々と入れては、ゆっくりと引き抜いていく。
指先の動きに合わせて、体が快感で膨れるような感じがしてくる。
「あは……気持ち、良い……」
口から漏れてくる声には、まだ幼い美久の声音と、快感に震える女性の喘ぎ声が入り交じっていた。
美久(翔子)は、何度も指先を出し入れしながら、うずくまるように猫背になりつつ、左手では乳房を覆っていた。
きつい膣。
小さな乳房。
改めてそれは、美久のものであり、若い少女のものであり、翔子のものとは違うのだ、と思い知らされる。
若く敏感な美久のものは、指先の動きに合わせて翔子の快感を高めていった。
ただ、自分の体ではないためか、それとも美久の体がまだ十分に開発されていないためか、いつもは来るはずの絶頂が訪れることはなかった。
物足りなくはあったが、翔子は同時に、自分の体ではない、美久の体で感じているのだ、とまたしても思うのだった。
「ん、でも、こういうのも良いかな……」
まだ女の最高の悦び――絶頂を知らぬ、女としては未熟な体で、その若い快感を貪るのもたまには良いな、と思いつつ、翔子は指先を動かし続け、甲高い喘ぎ声を漏らし続けていくのだった。

至の部屋に入るなり、美久は、体を見下ろした。
高校生男子と中学生女子だけあって、その身長差は10センチ以上もあり、いつもより床までの距離が遠く見える。
違いは、それだけではなかった。
くんくん、と犬のように鼻をすすってみると、兄の至に抱きつくたびに感じる、汗くささ、男臭さが、自分の体から感じられるのだった。
至(美久)は、片腕を持ち上げて、力こぶを作ってみた。
女のか細い腕とは違う、鍛えられた男の太い腕が、筋肉の盛り上がりを作るのが見て取れる。
見た目だけでなく、その腕が動く様にも、女の体とは違う、力強さが感じられた。
(これが、お兄ちゃんの目線。これがお兄ちゃんの体。これがお兄ちゃんの匂い……)
いつも憧れと共に見ていた兄と一つになるどころか、自分が兄の体になってしまったとなると、美久は不思議な気持ちだった。
しばらくの間、ドアの前に立って、今は自分のものとなった体を眺めていた美久だったが、部屋の隅にある机へと体を動かした。
歩く感じも、他人のものだからか、それとも異性のものだからか、ずいぶんと違っていた。
いつもだったら内股に歩いているのだが、膝が自然と外へと開くようになる。
左右に動く両足の合間には、ふにゃりとしたものがぶら下がっていて、足を進める度に、両ももの合間で、ふらふらと揺れるのが感じられる。
(これって、オチン○ンの感じなんだよね……)
この春に至と体を重ねてから、何度も見てきたもののはずのものではあるが、それが自分の体にあると思うと、どうしても違和感を感じてしまう。
(股間にぶら下がってるものがあるって、何だか変な感じ……)
違っているのは股間だけではなかった。
一歩一歩の動き具合も、女の体に比べると、力が溢れているように感じられる。
そんな足取りの違いを感じつつ、至(美久)は、机へとたどり着き、引き出しを開けた。
「やっぱり……」
引き出しの中には、至が読んでいる、エッチな雑誌が何冊も置かれていたのだった。
そのうちの一冊を美久は手にした。
「お兄ちゃん。やっぱり、大きい方が好きなんだ」
憮然とした口調で、至(美久)は呟いた。
そこには、巨乳グラビアアイドルが、水着でその乳房を見せつけているのだった。
それを見つつ、美久はいつもの自分と頭の中で比較してしまう。
あくまでも平均的なサイズと言い張っている美久の胸であるが、姉の翔子と比べると、月とすっぽんと言って良いぐらいだった。
翔子のGカップが満月とするならば、美久のBカップはすっぽんの甲羅だった。
「お兄ちゃん、大きさは関係ないなんて言ってくれるけれど、やっぱり大きいのが好きなんだ……」
かすかに手を震わせながら、男である至の声で、美久は怒りを露わにしていた。
「おっぱいなんて脂肪の塊に過ぎないのに……おっぱいの大きい女なんて、その分頭は空っぽに違いないのに……」
いつも呪いの言葉のように呟いている台詞を、美久は至の声で呟いた。
口から漏れる声が、至のものだと気付いた美久は、それならば、と至に言ってもらいたい台詞を口にしてみることにした。
「美久。俺が本当に好きなのはお前だけだぜ。翔子ねぇなんて、あんなのはセフレ以下、左手でするオナニー以下だぜ」
兄への思慕と、姉への苛立ちを合わせて、美久はそう呟いた。
「俺、お前のことが、好きで好きで堪らないんだ。愛しているぜ。美久……
って、やーん。恥ずかしい」
と、男の体と声のままに、美久はくねくねと体を動かし、握りしめた拳を口元へと当てるのだった。
その様子は、かなり気持ち悪いものだったが、そんなことに美久は気付かない。
「だから俺……お前が欲しい……」
そう呟いたところで、美久の意識は、股間へと向かっていた。
いつもだったら、至がそう言ってくる時点で、彼の股間は大きくなっているのだが、そんな気配は無かった。
パンツの中で、ぶらりと垂れ下がっているのを感じつつ、美久はベルトへと手をやった。
ズボンを脱いで、パンツに手を掛けた所で、その前に、と美久は上着を脱ぎ捨てた。
スポーツで鍛えられた胸板がさらけ出され、いつもはその胸へと顔を添えているはずの部分が、胸元へと見える。
普段であれば、立派な平均サイズ、と本人が主張している膨らみがある胸元がぺたりとしているのは、見慣れぬ光景だった。
胸元へ両手を当ててみると、触り慣れた至の胸板の硬さが伝わってくる。
それと同時に、胸がぺったんこになってしまっている様は、以前見た、朝目が覚めたら胸がまるっきりなくなってしまっていて、その分、翔子の胸がさらに大きくなっていた悪夢を思い出してしまい、どきりとしてしまうが、手のひらから伝わってくる感触は、触り慣れた、頼りがいのある兄の胸板だと思うと、安心感のようなものが感じられるのだった。
しばらくの間、がっしりとした胸を触ってから、至(美久)は、トランクスのゴムへと手をやって、足下までずらした。
ゴムひもが、股間からせり出したものを擦り降ろす感じが伝わってくるのと合わせて、パンツに包まれていたものが、空気に触れるのが感じられる。
股間を見ると、散らばるように生えた陰毛と、赤黒くて丸い亀頭が見えた。
見慣れた大きく勃起したものではなく、美久とのセックスを終えて、精液を出し終えた後の、小さなペニスだった。
自らの股間にぶら下がっている兄のものは、ずいぶんと小さく見えた。射精を終えた後でも、こんなに小さかったかな、と思えるほどだった。
美久は、右手を伸ばして、股間のものを手にしてみた。
ぐにゃり、という柔らかい感じと共に、股間から突き出たものが触られる感じが伝わってくる。
指先が触れる場所から感じられるくすぐったさは、乳房やクリトリスのものとは違っていた。
柔らかい至のペニスを触ることは、美久にはあまり無いことだった。
セックスの時には、最初から硬く大きくなっているし、セックスを終えた後には、くすぐったいと言って、至はあまり触らせなかったのだった。
(オチン○ンって、こんなに柔らかいものなんだ……)
硬いものしか知らない美久にとっては、その柔らかさは初めて体験するようなものだった。
ぷるん、ぷるん、と振り子を触るかのように、美久は股間からぶら下がっているペニスと、陰嚢を揺さぶった。
(なんだか、変な感じ。ここって、男の人の急所なんでしょ?)
良く、プロ野球珍プレイで、股間にボールが当たった選手が痛がる様子が取り上げられているのを見るが、こんな風にぶら下がっていれば、それはボールとかも当たるだろうなあ、と美久は妙に納得するのだった。
しばらくは、ぶらぶらとさせていたペニスを、美久はすくい上げるようにして持ち上げた。
指先の上に、まだ柔らかい裏筋の感触が伝わってくる。
(これが、オチン○ンの感触……)
女性器を触るのに比べると、伝わってくるその感触は、ずいぶんと荒っぽいもののように思えた。
手のひらの上で転がして、普段は見る機会の少ない真上からの眺めに見入っているうちに、そのペニスが少しずつ変化をしてくるのが感じられた。
(あ、何? これ? なんだか、オチン○ンがむずむずしてきた……)
手にしているうちに、余っていた皮に包まれていた陰茎の部分が、むくむくと膨らんでいくのが見て取れた。
それと同時に、膨れていくペニスへと中を流れている血液が集まっていくのが感じられる。
手のひらの上で、むくり、むくり、とペニスは尺取り虫のように動き、大きくなっていくのだった。
やがて、いつもの勃起したものよりかは小さめではあるが、手を添えることなく、前へとせり出し、その尖った形を誇示するような大きさになったのだった。
(これが勃起の感じなんだ……)
股間から生えているものが、せり出すように前へと伸びている感覚は、女の体には無いことだった。
それはまさに、生えている、という言葉がぴったりだった。
太くて大きな棒を、股間に突き刺したような、そんな前のめりになりそうな感じがしてくるのだ。
美久は、前へとせり出したものへと、指を絡めた。
(いつもの感じとは、ちょっと違うかな……)
目に入ってくるのは、見慣れた至のものなのだが、触っている指先が、美久の小さくて細い指先ではなく、無骨な兄のものだからか、いつもとは違って感じられる。
指先の感じが違うのか、どことなく、ごわごわとした感じがしてくるのだ。
それに、いつも自分の指先で触るのと、自分の体の一部として触るのでは、指の位置が違ってきている。
いつもであれば、指の先端をペニスの表側に添えて、親指を裏筋に掛けるのだが、それと違う位置で見ると、どう触って良いのか戸惑ってしまう。
いつも通りにしようとすると、右手を無理矢理ペニスに絡ませるような形になってしまう。
(ええと、自分で触るんだから、こうすれば良いのかな?)
美久はペニスを持ち上げるように、人差し指から小指までを裏筋へと添えて、残る親指を押さえつけるようにペニスの上へと添えた。
(これで良いのかな?)
股間からせり出したものを手にするにはちょうど良いのだが、果たしてこれが、男のオナニーの手つきなのかどうか、となると美久は自信がない。
どうにか手つきを定めた所で、美久はその指先を前後に動かしてみることにした。
いつも兄に手コキをしているものの、それがどんな感じなのか、美久は興味があった。
慎重に、微妙に触る程度で、美久はペニスを扱き立てた。
(あぁ……これがお兄ちゃんの感じ方なんだ……オチン○ンの感じ方なんだ……)
動く指先に合わせて、くすぐったさを伴った気持ち良さが伝わってくる。
それは、美久が自らの性器を触っている時よりも、ダイレクトな感じだった。
女と違って、股間から大きく張り出している分だけ、気持ち良さもすぐに伝わってくるのかも知れない。
(気持ち良さから言えば、クリトリスの方が上かもしれないけれど、これが、お兄ちゃんがいつも感じている気持ち良さなんだから……)
兄が感じている気持ち良さを、今は自分が感じている、その気持ちだけで、美久は満足だった。
触っているうちに、ペニスの硬さが段々と高まっていき、正面を向いていたものが、だんだんと上を向いていくのが感じられた。
試しにと、美久は添えていた手を離してみた。
さっきは正面を向いていたペニスは、今は手を添えることなく、腹に貼り付くぐらいに上を向いている。
その根本は熱く、まるで金属の棒が入っているかのようだった。
いつも、手や膣を通じてその硬さを感じることはあっても、こうやって自分のものとして、その硬さを感じるのは、これが初めてだった。
真上を向いたペニスへと、美久は再び、無骨な指を添える。
しゅっ、しゅっ、と皮膚を擦る音を立てながら擦り続けていくうちに、指へと当たってくる硬さも増してきて、それに合わせるように、むずむずとした感じが股間から伝わってきたのだった。
それは、尿意を思わせるものだった。
ただ、その勢いは、女の尿意などとは比べものにならなかった。
女であれば、とっくに膀胱が破裂してしまいそうなほどに、股間の中へと、尿よりも熱いものが集まり、外へ外へと出ようとしているのだった。
女の体ならば、尿道口を開くようにすれば、まるで袋に穴が空いたように尿が漏れていくはずなのだが、この体は、そんな単純な作りにはなっていないようなのだ。
そんなことよりも、なんて言えば良いのか美久にも良く分からないのだが、その尿意を満たすのには、何かが足りないように思えた。
(なに、この気持ち……なんだか、出したいんだけれど、出せないよぉ……)
股間がむずむずし、激しい圧迫感に襲われるのだが、その解消の仕方が分からない。
(どうしたら良いの?)
分からないままにも、美久の指先は体の本能が求めるのか、激しく動いていた。
すると突然、まるで体の中で、栓が外れたような感じが襲ってきて、同時に、鋭い放出感が、股間から伝わってきたのだった。
「や、な、何、これ?」
思わず美久は、弱々しい男の声を漏らしてしまう。
抜けた栓の奥から、激しい濁流が駆け上がってきて、指先に包まれている、硬いペニスの中を、熱いものが通り抜けていく。
「あ、あ、あはぁぁぁ……」
いつの間にか、背中がのけぞり、突き出されたペニスの先端から、フローリングの床へ向かって、何かどろりとしたものが流れ出ていくのが感じられるのだった。
どぴゅるるるるぅぅぅ……
女には無い、体の中から何か熱いものが抜け出ていく感じ。
(これが、射精の感じなの? 精液、どぴゅどぴゅ、って出て行く感じなの?)
ペニスの先を白く汚し、床へと垂れ落ちていった精液を見つめつつ、美久は男としての、兄としての初めての射精の快感に、ぼんやりとしてしまうのだった。
しばらくして、初めて気付いたかのように、美久は床へと精液を垂れ落としてしまったことに気付いた。
慌てて、近くにあったティッシュペーパーの箱からティッシュを取り、床を拭く。
精液を集めたティッシュからは、嗅ぎ慣れた兄の匂いがしてくるのだった。
裸のままに、四つんばいになって床を拭きつつ、一度精液を吐き出したペニスは、まだ勃起したままだと気付いた。
いつものセックスでも、至が一度の射精で満足することは無かった。
床を拭き終えたところで、至(美久)はベッドへと腰を掛け、半立ち状態のペニスを見つめた。
そこへ指先を添えて、至(美久)は再び、慣れない男のオナニーを再開した。
さっきは、どうやって射精して良いか分からず戸惑ってしまったが、今度は男の快感というものを愉しめそうだった。
ペニスをしゅっ、しゅっ、と擦っていくと、さっきの硬さを取り戻し始め、同時に、男ならではの、性急な射精への欲求が感じられたのだった。
女と違って、そのまますぐに射精をしてしまいそうになるが、今度は指先の締め付けを緩めるなどして、なるべく快感を先送りにするようにしてみた。
それと同時に、至のペニスを見つめつつ、指先で擦るだけであんなに気持ち良いのだから、これを女の膣――美久の膣自身へと入れたらどんなに気持ち良いだろうか、と想像してみた。
オナニーの時に感じる、愛液に滑る襞に、指先を締め付けてくるような圧迫感。
あれを、このペニスで感じたらどんなに気持ち良いだろうか。
そう思うだけで、ペニスはさっきの射精直前の硬さへとなっていったのだった。
美久の脳裏には、正常位で美久の上に覆い被さり、ペニスを入れている至と、その挿入を受けて喘いでいる美久の、二人の姿が浮かぶ。
いつもであれば、下にいて、兄のものを受け入れているのが美久なのだが、今は美久の中へ入っているはずのペニスが、彼女の股間から生えており、その手の中へとある。
頭の中に、二人の姿が浮かんでいるのと同様に、想像で感じる快感も、至と美久の二人のものだった。
股間からは、指先の動きから導くようにして、美久の膣が至のペニスを締め付けてくるのが感じられる。
「ああ、美久。美久のオマ○コ、俺のチン○ンを締め付けてきて、すっごく気持ち良いよ」
それと同時に、今は美久の掌中にある、硬くて熱いものが、美久の中へと入ってきて、激しく膣内を掻き乱していく。
(ああ、お兄ちゃん。お兄ちゃんのオチン○ン、美久の中で暴れてる……)
口と頭の中で、美久は至との一人二役を演じていた。
「美久。好きだよ。愛しているよ。ああ、美久……美久……」
耳元で、至からそう言われた台詞を、美久は口にする。
「愛してるよ、愛してるよ……愛してる……」
呻くように、美久は呟いていた。
そんな兄の言葉を聞いているだけで、美久は幸せな気持ちになってきていた。
(あたしもお兄ちゃんが好きだよ……もっと、愛してるって言って)
「ああ、俺も、美久のこと、大好きだ」
男よりも、女の方が、愛していると言われると喜ぶとの言葉通り、美久も至の言葉に興奮していた。
だが、そんな女としての悦びを観じる一方で、股間からは、またしても男の絶頂感――射精感が盛り上がっていたのだった。
もう、我慢する余裕は無かった。
射精感に突き動かされるように、美久は指先を動かし、ペニスを扱き立てる。
「美久、美久、俺、出るぅぅぅぅぅ!!!」
ベッドから腰が浮くようになるのと同時に、二度目の男の射精が、美久を襲った。
今回は、わずかに残っていた理性が、精液を床へと散らばらせることなく、左手で押さえ込んだのだった。
どぴゅり、どぴゅり、と左手へと、勢いのある至の精液が浴びせられる。
股間で射精を感じるのと同時に味わうその圧力は、いつもの美久の手で精液を押さえる以上に、興奮をさせるものがあった。
左手にかけられた、どろりとした至の精液を見つめつつ、美久は、男しか知ることの出来ない、射精の余韻というものを感じ続けたのだった。

しばらくの間、そうやって自分のものとなってしまった体を堪能していた三人だが、昼頃になると、誰から言うともなく、リビングへと集まった。
両親が単身赴任の中、土日の昼食は外出して食べることが多く、今日もそうしよう、と美久(翔子)が提案してきた。
「どうせだったら、そのまま三人でどっかに遊びに行かない?」
「賛成!」
至(美久)が、野太い声を挙げつつ、子供っぽい仕草で手を上げる。
「それじゃあ、俺も」
翔子(至)も、姉に従うようにして、おずおずと頷いた。
「それじゃあ、出掛けましょう。化粧は……どうしましょうかね」
横にいる自分の顔を見詰めつつ、美久(翔子)は呟く。
「化粧って、俺がするの?」
「当たり前でしょ。他に誰がするの?」
「化粧か……」
化粧と言っても大学生の翔子のことだから、軽く口紅を付けたり顔に乳液を付けたりする程度なのだが、それを自分がするのかと思うと、翔子(至)は、ちょっとドキドキしてしまう。
「口紅なんて、いきなり一人でするのは無理でしょ。わたしの部屋で一緒にやりましょ」
「あー、そうやって、お兄ちゃんと二人っきりになろうって言うんだ」
「これは女の子同士の話だから、男の子は黙ってなさい」
そう言い放ちながら、美久(翔子)は、自分自身の体を引っ張っていったのだった。
部屋へと入れられて、翔子(至)は化粧台へと座らせられた。
ついさっき、机の上にあった小鏡で、翔子となった自分の顔を見たばかりだが、大きな鏡で見るとなると、それとは違って見える。
顔を合わせて直に見るのと違って、左右対称になっているせいか、どことなくいつもと違った感じがする。
その横には美久が立っていて、翔子(至)の顔をまじまじと見つめてくる。
「ふーん。やっぱり、自分の顔を他人の視線から見るのって不思議な気持ちね」
聞き慣れた姉の口調で、美久がそう言ってくるのも、同じく不思議な感じだった。
「それじゃあ、まずは乳液。これぐらいは自分で付けられるでしょ」
化粧台の上から、乳液の入った瓶が手渡される。
「う、うん。やってみるよ」
翔子(至)は、手のひらに乳液を塗してから、頬へと当てた。
女の手のひらで触るせいか、いつも以上にぷにぷにとした柔らかさが感じられた。
そのまま乳液を伸ばすように、頬へと擦りつけていく。
すべすべとした翔子の頬の感触が、やけに気持ち良い。
化粧をする、という初めての行為ということもあるのかもしれない。
「さて、それじゃあ口紅ね。本当は、アイシャドーとかもしたいんだけれど、どうせ向こうに行ったら落ちちゃうものね」
「向こうってどこ?」
美久(翔子)の言葉に、思わず問い返してしまう。
「あ、食事の後に健康ランドに行こうと思っててね。いーくんも、わたしの体で、さんざん汗をかいちゃったでしょ」
さっきまでオナニーしていたことを見透かしたかのように、美久(翔子)は言ってくる。
「だから、化粧はあんまりしないでもいいでしょ。だから、口紅も、とりあえず塗るだけ。リップブラシとかは使わないわ」
「だったら口紅もいらないんじゃないの?」
「そんなこと言って。実は結構興味あるんじゃないの、口紅を自分で付けてみるのって?」
首筋を抱きしめられながら、いつものように、うりうりと美久(翔子)は頬へと肘を当ててくる。姉の体ではないため、美久が姉の真似をしてふざけているようで、どことなく愛嬌が感じられた。
「そ、それは……」
「さ、何事も実践よ。それじゃあ、多少は失敗しても良いように、地味めなものにしましょうね」
手渡された口紅は、美久(翔子)が言う通り、地肌に似たオレンジ色っぽいものだった。
根本の部分をクルクルと回すと、口紅の部分が姿を現した。
「で、どうやって塗れば良いの?」
「唇に口紅の先を当てて、唇の輪郭をなぞっていくみたいにするの」
「こ、こう?」
翔子(至)は、口元を、口紅の先が擦っていくのを感じた。そのねっとりとした感触は、姉とキスをした時に感じる時のものよりも、はっきりとしたものだった。
体が覚えているものなのか、意外と上手に塗っていくことが出来た。
「そうよ。そのまま下唇も塗っていって」
言われるままに、翔子(至)は、口紅を下唇へと添えた。
自分の指先の動きに合わせて、翔子の顔へと口紅が塗られていく様は、どことなく写真に向かって落書きをしているかのようにも思えた。
「良い感じね。それじゃあ、ティッシュを当ててみて」
「ああ」
言われて、何をすれば良いのか、翔子(至)は理解した。
ティッシュを手にして、唇で挟むようにして、んま、とでも言った動作をする。
電車の中で化粧をしている女性がたまにしているのを見かける光景であったが、それをまさか自分がするとは思わなかった。
ティッシュを見ると、オレンジ色の唇の跡がついている。
「それじゃあ、もう一度塗って」
「また塗るの?」
「今度は軽くよ。ま、人によって違うみたいだけれど、わたしの唇は、そうした方が口紅の乗りが良いのよ」
そんなことにまで個人差があるものなのか、と思いながらも、翔子(至)は、口紅を塗り直した。
唇全体に、まるでゴム糊でも貼り付いているかのような感じだった。
「それじゃあ、出掛けましょう」
手を引っ張られるままに、翔子(至)は、一階へと下りていった。
「さあ、いくわよ」
言われるままに、三人は家を出て、まずは近くのファミレスへと向かったのだった。
ファミレスに入って、それぞれ、食べ慣れたものを注文した。
しばらくして注文した品が届き、銘々が口にするのだが、揃って顔を見合わせた。
「なんだか、いつもと味が違うね」
「そうだね」
「やっぱり、翔子ねぇと美久もそう思ったんだ」
いつもと同じ品のはずなのに、どことなく味が違って感じられる。
「ひょっとして、体が違っているからじゃないかな?」
頬に指先を当てて、美久(翔子)が呟いた。
「あ、そうかもしれない」
翔子(至)が、納得したように、うんうんと頷く。
「そうか。体が違うと感じ方も違うから……」
そう言ったところで、至(美久)は、さっきまでしていたオナニーのことを思い出してしまい、思わず頬を赤らめてしまう。
「それじゃあ、選んだ品を、体の方に合わせてみましょう」
美久(翔子)の提案に、テーブルに並んでいたハンバーグランチを美久(翔子)へ、明太子スパゲティを翔子(至)へ、カツカレーを至(美久)へと渡した。
それぞれが、食べ慣れないメニューへと、恐る恐る口を付ける。
「へえ、ハンバーグなんて食べるの久し振りだけれど、ずいぶんと美味しいわね」
「スパゲティ、思ったよりもあっさりしているけれど、この舌にはあうみたいだな」
「カレー、辛いけれど美味しいね」
三人が三人、いつもと違う味覚に驚かされるのだった。
食事を終えて、三人は店を出た。
「それじゃあ、お腹もいっぱいになったところで、くつろぎに近くの健康ランドに行かない?」
美久(翔子)が、さっき言っていた提案をする。
「良いね。行こうよ……って、あーっ! お姉ちゃん、ずるい!」
至(美久)が声を上げて、自分自身の姿を指さす。
「男湯と女湯に分かれるから、お兄ちゃんと二人っきりになろうって気なんだ」
言われて、翔子(至)は、なるほどな、と思う。確かに、体は女性である翔子(至)と美久(翔子)は一緒に女湯に入り、体は男の至(美久)は、一人だけ別になってしまうのだ。
「偶然よ。偶然。さ、早くいきましょ」
なおも騒ぐ妹を無視して、美久(翔子)は、二人の手を引っ張っていったのだった。
男女に分かれて、女子更衣室へと入ることになった翔子(至)は、その光景に思わず見取れてしまっていた。
若い女性が少ないのが残念だが、それでも女性が、堂々と服を脱いでいる場に居合わせられるというのは、彼にとっては嬉しいことだった。
「ほら、見取れてないの」
「痛たたた……」
服を脱ぐのを忘れて辺りを眺めていた彼の耳を、美久(翔子)が引っ張ってくる。
「いーくんって、結構浮気っぽいところがあるのね」
両手を腰に当て、上目遣いに怒った顔で、美久(翔子)が見つめてくる。
「ごめん。こういうのって初めてだから。
あ、でも、やっぱり翔子ねぇが、この中で一番綺麗だよ」
「よろしい」
両手を腰に当てたまま、美久(翔子)は、小さな胸を反らせて、満足げに頷いてから、服を脱ぎ始めた。
二人っきりの時には恥ずかしげに脱ぐのに、こういう時には堂々と脱ぐのだな、と思ってから、その中身は美久ではなく翔子なのだと思った。
「ほらほら、いーくんも早く脱いで」
「え、でも。良いの?」
目の前には、この体の持ち主である美久(翔子)がいるのだ。その前で裸になると言うと、なんとなく、彼女の体を公衆の面前で脱がしているようで、ちょっと遠慮気味になってしまう。
「ほらほら、早く早く」
言われるままに、翔子(至)は服を脱ぎ、健康ランド備え付けのガウンを身につけた。
「じゃ、早く行きましょう」
相変わらず、手を引っ張られるままに、翔子(至)はその後を追ったのだった。

「ここ、ちょうど誰もいないわね」
小浴場の一つを見渡して、美久(翔子)は呟いた。
「それじゃあ、早速……」
言うなり彼女は、翔子(至)のガウンを後ろから引っぱがして、全裸へとさせた。
そのまま、両手を胸元へと当ててきて、Gカップの巨乳をわしわしと揉みはじめてきた。
「ちょっ、翔子ねぇ……」
いきなりのことに、翔子(至)は、戸惑いながら、自らの胸元にある巨乳が、美久の手で揉まれるのを見つめていた。
「こうやって他人の手でわたしのおっぱいを触るのって、いつもと違って新鮮な感じね。自分で揉むのと違って、触っていることに集中できるし。
どう? わたしの体をわたしに揉まれる感じは?」
翔子の乳房は揉み慣れているものの、逆の立場になるなんて、もちろんこれが初めてのことだ。
「なんだか変な感じだよ。この体が翔子ねぇで、揉んでいるのも翔子ねぇなんだろ」
「そうよ。だから、どうすれば感じるかも、ちゃんと分かっているんだから。ほら、こうすると……」
美久(翔子)は、手のひらを一杯に広げて、指先を食い込ませるぐらいに強く乳房を揉みしだいてきた。
胸元で、翔子の巨乳が、その柔らかさと弾力性を誇るかのように、ぐにゅり、ぐにゅり、と形を変えていく。
それに合わせて、胸元が上下左右に引っ張られる感じが伝わってくる。
それはまさに、体の一部が、こね回されてる、という言葉がぴったりだった。
乱暴に揉まれているのを見ているうちに、その乳房の中が、じわりと熱くなってくるのが感じられるのだった。
「あ、なんか、良い感じ……」
激しい扱いとは裏腹に、乳房はそれをスムーズに受け入れ、オナニーの時に感じた、乳房ならではの、やんわりとした快感に変えていくのだった。
「そうでしょ。こうやって強く揉まれた方が、すぐに感じて来ちゃうの。
そうやって気持ち良くなったところで、こうだっ!」
背後から伸びてきていた美久(翔子)の指先が、左右の乳首をつまみ上げた。
乳房への責めと同様、乳房から摘み取ろうとするかのような、勢いのある扱い方だった。
「ああ、翔子ねぇ……こんなのって……良いよ。あはっ」
そう呟いた口元へ、美久(翔子)の手のひらが押し当てられた。
「ダメじゃない。そんな大きな声を出しちゃ。近くのお風呂に入っている人に聞かれちゃうわよ」
「そ、そうだけど」
「あ、なんかこうやって、自分の口を押さえて、声を上げさせないようにしながら責めるって、結構興奮してくるわね。なんだか、男の人になったみたい。
それじゃあ、こっちはどうかしら」
美久(翔子)は、左手で口を押さえたままに、右手の指先を、乳房から下の方へと降ろしていき、股間へと伸ばしてきた。
「ひゃふぅん!」
指先がクリトリスに触れると同時に、翔子(至)は、全身をぴくりと震わせて、小さな叫び声を上げる。
「あ、なんだか不思議な感じ。触っているのは自分のもののはずなのに、触られている感じが無いのって」
そう言いつつも、指先はさっきの乳房以上に的確に、弱い部分を触ってくるのだった。
「あはぁん」
「すっごい。もうこんなにぐちょぐちょ。わたしの体って、こんなにいやらしかったかしら? それとも、男の子の、いーくんが中に入っているから、いつもより敏感なのかな?」
クリトリスを弄りつつ、美久(翔子)は、耳元で意地悪く呟いてくる。
翔子(至)は、身悶えしたまま、立っているのがやっとだった。
そんな彼の前へと、美久(翔子)は、体を動かしてきて、膝立ちになって、その顔を自らの股間の前へと近づけた。
「ふーん。わたしのアソコって、こういう風になっているんだ」
まるで顔を押しつけんばかりに、美久(翔子)は、自分の股間を、まじまじと見つめてきた。
「うわっ!」
その股間へと、生暖かいものが近づいてきた。
午前中のオナニーの際に触れた、指先なんかよりも、もっとねっとりとしたもの。
まだ幼さの残る顔を股間に近づけ、口から舌を伸ばし、ぴちゃり、ぴちゃり、と彼女が股間を舐めてくるのが見て取れた。
(ああ、指先とは、まるっきり違う……)
クリトリスと膣口へと貼り付いてくるような感じは、指先とは比べものにならなかった。
「あはっ、あぁん……」
「いーくん、声を出しちゃダメでしょ」
美久(翔子)が顔を上げながら言ってくる。
「わ、分かってるけれど……でも……うわっ!」
にゅるり、と膣の中へと、二本の指が入り込んできた。
自分でも体験したことではあるが、他人の指が入ってくるというのは、自分で指を入れるのと違って、予想が出来ずに、ただただ翻弄されるばかりだった。
ぐちゅり、ぐちゅり、と膣の中で美久(翔子)の人差し指と中指が、勝手知ったる我が膣とばかりに、乱暴に掻き乱してくる。
その合間にも、クリトリスへは、舌先が絡みついてきては、時折、熱い吐息と唇も貼り付いてくる。
そうやって乱暴に動いていた指先が、だんだんと膣の中で狙いを定めるように位置を変えてくるのが感じられた。
膣口の入り口近くの一点へと、人差し指と中指の腹が添えられるのだった。
(これってもしかして……)
膣の一点が圧迫されると同時に、女の体には似合わない、男の射精のような感じが伝わってくるのだった。
「どう、Gスポットを触られる感じは?」
クリトリスを舐めていた舌を離してから、美久(翔子)は聞いてきた。
「これが、Gスポット……」
美久とは違って翔子にはそういう場所があって、前戯の際には良く弄ったりしていたが、こうやって触られる立場になるとは思ってもみなかった。
「な、なんか……変な感じだよ。でも、気持ち良いから……もっと触って。それに、クリトリスも舐めて……」
ペニスの快感を凝縮したようなクリトリスの快感が忘れられず、翔子(至)は、思わずおねだりをしてしまっていた。
美久(翔子)の顔が近づき、再びクリトリスへの、ねっとりとした刺激が伝わってくるのと合わせて、さっきからのGスポット責めも続いている。
いずれも男にはない部分を刺激され、翔子(至)はもう限界だった。
「ああ、来る……」
それが、翔子の体でオナニーしている時に感じた、女の絶頂への前触れだった。
体の中にある導火線に火がついたようになり、爆発へのカウントダウンがされる。
「あぁ、あは、あぁぁぁぁーーー!」
喘ぎ声を必死に押さえたつもりだったが、それでもまだ二度目の女性の絶頂を体験して、翔子(至)は、声を漏らしてしまう。
「うふっ、イッちゃったんだ」
嬉しそうな顔で、美久(翔子)は、粘液のついた口元を広げて、笑みを浮かべてくる。
「ねえ、オナニーした時にも、わたしの体でイッたんでしょ」
「う、うん……」
照れながら、翔子(至)は、小さく頷く。
「その時は何回、イッたの? もしかして、連続絶頂なんてのもしたりした?」
「そんなの……一回イッただけだよ」
「そうなの。それってもったいないよ」
そう言って美久(翔子)は立ち上がり、小さな乳房を、Gカップのバストへと擦りつけてきた。
「せっかく女の体なんだし、しかもわたしの体なんだから……女の体って、男と違って、何度でもイケるし、イキっ放しになることも教えてあげる。
それじゃあ続きは、お風呂の中でしよう」
美久(翔子)は手を取って、二人して湯船に入った。
それと同時に、翔子(至)の胸元にある乳房が、まるで湯船に入れた、空気を中に包み込んだタオルのように、ぷくりと膨れあがり、湯船の表面をたゆたうのが見て取れた。
「うわぁ、おっぱいが浮かぶって、こういう感じなんだ……」
それまで重みばかりを感じさせていた乳房が、一転して浮かぶ風船のような軽さへと変わっていくのは、巨乳ならではの体験だな、と翔子(至)は思った。
「それじゃあ、何度でも感じさせてあげる」
湯船の中で翔子の体を珍しがっているうちに、その持ち主が近づいてきて、湯船に浮かぶ乳房の頂を口に咥えつつ、指先を湯船の中にあるクリトリスと膣内へと侵入させてきた。
他人の舌で乳首をしゃぶられるのも初めてなら、湯の中で女性器を触られるのも初めてのことだった。
赤ん坊のようにしゃぶられる乳首、指先の動きに合わせて湯の動きが伝わってくるクリトリス、入ってくる指先に沿うようにして膣内へと入ってくる湯の温かさ。
それら三つが一体になり、翔子(至)の快感中枢を襲ってくる。
「んぁあ……あはっ……イク、イクぅぅぅぅぅ」
お湯による全身への愛撫も手伝ってか、翔子(至)は、またしても絶頂に達してしまったのだった。
そこには、男のように、射精をした後のむなしさのようなものは、微塵も無かった。
全身を、けだるい、それでいて心地よい快感が渦巻き、まるでお湯の温かさが体の芯にまで達しているかのようだった。
「油断している暇はないわよ。そら、そらっ」
言いつつ、美久(翔子)は、指先によるクリトリスと膣への責めを続けていた。
「ああ、こんなのって……凄い……」
「そりゃそうよ。わたしの体がどうやれば気持ち良くなれるかは、わたしが一番良く知っているんだから」
指先の動きに合わせるように、翔子(至)の全身が、びくりい、びくり、と震えていくのが感じ取れた。
さらに、体の動きに合わせて、湯船が揺れるのが感じられる。
それはまるで、受け身になり、快感に震える今の体の動きを見せつけられているようで、やけに恥ずかしく思え、そう感じるとさらに、体が敏感になってしまうのだった。
「ああ、また、イクぅぅぅぅぅ……んむ……」
勝手に口から漏れてしまう喘ぎ声を防ぐかのように、美久(翔子)の唇が、重ね合わさってきた。
自然と全身が触れあい、乳房が重なり、湯の中で火照った体が密着し合う。
――自分が翔子ねぇの体になって、その翔子ねぇは、美久の体になって、こうやって俺を気持ち良くさせている。
そう思うと、何か、別の世界にでもいるかのようだった。
それを示すかのように、翔子(至)の体は、絶頂の爆発が、何度も続いていた。
爆発はさらなる爆発を呼び、単純に連鎖していくだけでなく、その大きさもずっと大きくなっていく。
翔子(至)は悶えるばかりだった。
何かにしがみついていないと、どこかへと全身が落ちていってしまうような気がした。
いつの間にか両手を伸ばして、美久(翔子)へと抱きついていた。
そうすると、ほっとしたような、落ち着いた気持ちになった。
永遠にでも続くかのような絶頂の連続の中、至は射精の後に、翔子が必死に体を抱きしめてくる気持ちが分かったように思えたのだった。

「さっきはお姉ちゃんが遊びに行く場所を決めたんだから、今度はあたしが決めていい?」
健康ランドから出て、三人が再び集まった所で、至(美久)は声を上げた。
自分自身の体が、女の子っぽい口調と仕草で言い寄ってくるのは、翔子(至)には周りが気になって仕方がなかったが、姉と二人でエッチなことをしてしまった後ろめたさから、ただ黙って見ているしかなかった。
「いいけれど、どこへ行くの?」
「映画館!」
手を上げる仕草をしながら、至(美久)は言う。
「ああ、近くのシネコンね。わたしは構わないわよ」
美久(翔子)は、腕を組みながら答えた。
「それじゃあ、行こう!」
二人の手を引っ張りながら、至(美久)は、映画館へと向かったのだった。

「しまった……そういうことだったのね」
チケット売り場に書かれた、映画の案内を見て、美久(翔子)は悔しそうに呟いた。
映画は大人向けの恋愛映画で、R−15指定となっているのである。
今は中学生である美久の体になっている翔子は、入ることが出来ないのだ。
「偶然だよ。偶然。さ、早く行こう」
至(美久)は、さっきの仕返しとばかりに、似たような台詞を言いつつ、翔子(至)の手を引っ張り、チケットを買って、館内に入ったのだった。
場内は空いており、二人は並んで前の方へと座った。
至(美久)は、椅子に腰掛け、隣を見つめた。
そこに座っているのは、姉の翔子の体なのだが、その中身は、兄の至なのだ。
そして、自分の体こそが、兄の至のものだった。
さっき、一人で健康ランドの男性浴場に入った時は、恥ずかしさで一杯だった。
周りは、全裸の男性ばかりなのだ。
兄のものは見慣れているとは言え、他の人に比べて兄のサイズはどれぐらいなのだろうか、という好奇心が思わず湧いてきて、つい、ちらりと見てしまっては、慌てて目をそらすのだった。
それに比べれば、今はこうやって、体こそ姉のものだが、中身は至と二人っきりなのだ。
あの姉のことだから、おそらく健康ランドでは至と二人っきりになったことを良いことに、色々とエッチなことをしたのだろう。それに負ける訳にはいかない。
それに、兄と二人っきりで、大人向けの恋愛映画を見るというのも、彼女にとっては初めてのことだった。
インターネットでエッチなサイトを見たりすることはあるが、映画館で見るとなると、やはり違って感じられる。
そんなことを考えているうちに、映画が始まった。
あまり字幕に慣れていない彼女は、場面を見ていいのか字幕を追うべきなのか、おたおたとしているうちに、ストーリーの方は勝手に進んでいた。
そして画面が暗くなり、登場人物の二人が裸になり、ベッドへと倒れ込んでいったのだった。
それを見ているうちに、至(美久)の股間はむずむずとしてきて、やがて、ズボンとパンツの中で暴れるように、ペニスが大きくなっていくのが感じられた。
ジーンズを着て椅子に座っているため、元々きつい股間の中で、男のものは、ぐんぐんと膨らんでいく。
前に進むことが出来ずに、折り曲げられるような形になり、そんな慣れぬ痛みに、至(美久)は、腰をむずむずとさせるばかりだった。
(男の人の勃起って、こんなに痛いんだ……)
至のペニスの大きさを思い出しつつ、あんなものが締め付けられた衣服の中で盛り上がるのだから、男の人は大変なのだな、とその痛みを感じ続けた。

自分の体が隣で腰をむずむずとさせているのを、翔子(至)は心配そうに見つめていた。
そうしている合間にも、映画の方は進んでいき、ベッドシーンもクライマックスへと入っていく。
翔子(至)は、嬌声の合間に潜めるように声を小さくして、彼女の耳元で、
「大丈夫か?」
と尋ねた。
そんな問い掛けに、しばらくの間、肩をすくめるようにもじもじとしていた彼女だったが、やがて小声で、
「お……オチン○ンが、大きくなって痛いの……」
そう言い返してきた。
男の至であれば、腰の座り具合をずらすような仕草をして、股間で大きくなったものの位置をずらすぐらい、自然に出来ることだが、だからそうしろと指示をすることも出来ない。
どうしようか、と思っていると、映画の方はベッドシーンが終わり、場面転換となっていた。
それを合間に、翔子(至)は、彼女の手を取って、客席の外へと連れ出したのだった。
そしてそのまま、目についた男子トイレへと駆け込み、狭い個室へと二人して入る。
「オチン○ン、痛いよ……」
自分自身の体が、目にうっすらと涙を浮かべながら、そう言ってくる。
自分の顔がそんな表情を浮かべるのは気持ちの悪いものがあるが、それよりも、美久のことが心配だった。
「それじゃあ……」
そう言って翔子(至)は、ベルトを外し、ズボンを膝まで降ろした。
締め付けから解放されると同時に、トランクスに包まれたものが、布地越しでもその形が分かるほどに、むっくりと頭をもたげる。
(結構、俺のものって、大きいんだな……)
膨れあがったトランクスを見ながら、至はそんなことを思った。
いつもは自分の股間にあるものを今は間近で見ているからそう見えるのだが、そこまでには至は思い当たらない。
「どうだ。痛みは治まったか?」
「う、うん。だいぶ楽になったけれど、まだ、ずきんずきんするんだよ」
兄の体になっていること、兄と一緒に官能映画を見たこと、兄と個室トイレに二人っきりになっていること、それらが合わさってか、ペニスが腫れ上がっているような勃起は収まることがなかった。
「そ、それじゃあ……」
そう言って、至は、前面を膨れあがらせているトランクスを、ゆっくりと降ろした。
自分のものが、間近に晒されるのには抵抗があったが、美久のためだから仕方がない。
トランクスを脱がすと、ぴょこん、と槍のようなものが前へと突き出てきたのだった。
(これが、俺のものか……)
見慣れているもののはずなのに、こうやって別の角度、別の位置から見てみると、まるで別人のもののように見える。
ちょうど、インターネットの無修正動画で、女性の股間に近づいていく、ギンギンに勃起したペニスを見るかのようだった。
「な、なんか、恥ずかしいよ……」
頭上から、自分自身の弱々しい声が聞こえてくるのに、至は戸惑いを覚えるのだった。

(ああ、お兄ちゃんに、あたしがオチン○ン、大きくさせているのを見られている……)
目の前にいるのは姉の翔子なのだが、口調や細かな仕草、それになにより、優しい気遣いは、間違いなく兄である至のものだった。
そう思うと、恥ずかしさと合わせて、姉の翔子をさしおいて、今は兄を独り占めしているのだ、という気持ちにもなってくる。
目の前にしゃがみ込んでいるはずの姉は、今は別の映画でも見ていることだろう。
翔子の姿をした兄を前にしていると、兄への甘えと、姉への悪戯心が湧いてくるのだった。
「ねえ、お兄ちゃん。いつもあたしがするみたいに、オチン○ン、シコシコってして……」
兄に、兄のペニスを扱いてもらう。
姉に、自分のペニスを扱かせる。
自分が、相手が誰なのか分からなくなるような、倒錯めいた感情が湧き起こる。
「そうだよな。このまま勃起しっぱなしじゃ痛いもんな」
言うなり、翔子の手のひらが、美久の股間で勃起しているペニスへと添えられ、その体が膝立ちになり、至(美久)の股間へと顔が近づいてくる。
柔らかい女の手のひらが、ギンギンに硬くなっているものへと触れてくる感じは、午前中のオナニーでした、男である至の手のひらで自ら触るのとは、まるっきり違っていた。
あの時には、男の皮厚の指先と手のひらが触れてきたが、今はしっとりとした柔らかい姉のものが、怒張したものへと優しくタッチしてくるのだ。
ぺたり、ぺたりと触られていると、
「これで、いいのか?」
困ったような顔で、翔子がそう聞いてくるのだった。
その顔を見て美久は、兄の体でオナニーした時に、ペニスを触る手つきで迷ったのを思い出し、思わずクスリと笑ってしまった。
「な、なんか変なこと言ったか?」
眉根をゆがめて見つめてくる翔子の口調、甘える妹に困ったような表情、いずれも、至のものだった。
「ううん。ただ、あたしもお兄ちゃんのオチン○ンでオナニーした時に、どうやって触っていいか分からなかったから」
「そうか、やっぱり、男と女で触り方が違ってくるんだな」
そうこうしているうちに、ようやく握り方が定まったようだった。

(なんか、自分のものをこうやって触るって、変な感じだよな……)
自分自身のものを目の前で見つめ、右手でなぞりつつ、至は、圧倒されるような気持ちになっていた。
間近に迫るペニスからは、男の熱気のようなものが、むわりと伝わってくる。
それに、夏場に体育があった日の夜に、風呂に入ろうとパンツを降ろした時に伝わってくる、汗臭さと言うか、男臭さと言ったものが、ツンと鼻を突いてくる。
たまに風呂に入らないでセックスをした時に、翔子や美久の性器から、性器臭を感じることはあったが、男の体の時には、それも一つの興奮材料となっていた。
だが今は、自分の臭さなのだ、と思うと、欠点を見せつけられているかのような引け目を感じてしまうのだった。
(いつも翔子ねぇや美久には、こんなことをさせていたのか……)
そんなことを感じつつ、翔子(至)は、自らのものを扱き始めたのだった。
シュッ、シュッ、と乾いた音が、耳元へと伝わってくる。
いつもは、翔子や美久にさせていることを、今は自分がやっている。
しかも、その相手は、至の体なのだ。
自分自身のペニスを擦りつつ、ちらりと上を見ると、自分と目が合ってしまった。
「お兄ちゃん……気持ち、いいよ……」
戸惑ったような表情で、自分の顔が弱々しい言葉を呟いてくる。
「美久……」
その中身を確認するように、至は妹の名を呼ぶ。
「お兄ちゃん……」
至の体に入っている美久が、そう言い返してくる。
目の前にいるのは、自分ではなく、美久なのだ、至は、そう確信した。
そう思うと、そんな彼女に報いたくなってきた。
至は恐る恐る、こちらへと真っ直ぐに起立しているペニスへと、口を近づけていった。
「あ、お兄ちゃん……そんな……」
腰が引かれるのだが、狭い個室トイレの壁に阻まれてしまう。
その合間にも、至の口へと、自分自身のものが入り込んでくる。
(うわ、これがフェラチオの感じなんだ……俺のものをしゃぶるなんて、なんか変な感じ。それに、しょっぱいし……これが俺の味なのか?)
唇と口内、そして舌先へと、男の熱くて硬いものが伝わってくる。
そんな口中への圧迫感を感じながら、至はゆっくりと口を動かしていった。
「ああ、お兄ちゃん。そんな風にしゃぶられたら、あたし……」
弱々しい自分の声を聞きつつ、口を動かしていくと、初めての行為のせいか、亀頭の先端が口の中を突つくように当たってくる。
初めは、むせたような不快感ばかりだったのだが、そのうちに、だんだんと口内に変化が起こってくるのが感じられた。
(なんだ、この気持ちは……?)
不思議と、ペニスが口の中を動き回っていることに、興奮を覚えるようになってきたのだった。
それも、ただの興奮ではなく、性的なものだった。
(俺、自分のチン○ンをしゃぶって、こんな気持ちになっているのか?)
戸惑いつつ、そういえば女の体は、フェラチオをしていると、だんだんと気持ち良くなるなんてあったなあと、エロ漫画で得た知識を思い出していた。
そんな意識が芽生えたのと同時に、口中のものの動きが、愛おしくなってくるのだった。
(これって、アソコに指を入れた時みたいだ……)
性器と化してしまった口内に驚きを感じつつ、その快感をもっと味わおうと頭を前後に動かすと、そんな動きを物語るかのように、翔子のふわりとしたウェーブのかかった髪の毛が、うなじをくすぐっていくのが感じられた。
今の至には、そんな些細な刺激すら、快感に感じられたのだった。

(ああ、男の人って、こんなに気持ち良いの?)
至の体でオナニーをした時には、二度の射精をした美久であったが、女性の熱い口内によるフェラチオは、それとは比べものにならなかった。
陰茎の根本を押さえ込むように咥えてくる唇、陰茎から雁首へと掛かってくる口中の温もり、亀頭をしゃぶるように動いてくる舌先。
それは、男の指先でするオナニーなんかとはまったく別次元の快感だった。
(こんなのって、あたし、おかしくなっちゃいそう……)
初めて体験するフェラチオに、美久は射精寸前だった。
それを堪えているのは、兄にペニスをしゃぶられている、という後ろめたさからだった。
だが、それを上回る勢いで射精への圧迫感は膨らんでいき、それに合わせるように、美久の中に、別の気持ちが湧き起こってきた。
今の自分は兄であり、いつもは頭の上がらない姉の翔子に、フェラチオをさせているのだ。
そんな、ペニスを持つ者としての優越感のようなものが、美久の頭の中で膨らんでいく。
まるで、男の本能と欲望に、射精感という餌を与えられることで、心が支配されていくかのようだった。
もう、我慢できなかった。
「お兄ちゃん。あたし、もう我慢できない。出ちゃう、出ちゃうよ。オチン○ンから、精液でちゃうよ」
今からしようとしていることを詫びるかのように美久が叫ぶと同時に、股間の根本から、熱いものが弾け飛んだ。
「ああ、出る、出る、出ちゃうぅぅぅぅ!」
中に溜まっていたものどころか、全身の精力までも吐き出してしまうかのような、強烈な射精感に美久は襲われたのだった。

(むぐ……ん……んむ……)
口中へと、どろりとした粘液が放出された。
それが、自分のペニスが吐き出した精液であると至は分かっていたのだが、さっきまでのフェラチオの興奮と快感のままに、彼はそれを、ごくり、ごくり、と飲み込んでいた。
貼り付くような精液が、喉を通っていく。
それと同時に、股間が熱く疼き、じゅくじゅくと濡れていくのが、翔子(至)には感じられたのだった。
(ああ、フェラチオだけであんなに気持ち良いんだから、あれをマ○コの中に入れたらどうなるんだ?)
男のものが欲しい。
自分自身のものを咥え込みたい。
どろりとした精液を流しこんで欲しい。
女として、セックスを、挿入を、射精を味わいたい気持ちでいっぱいだった。
「ああ、お兄ちゃん……飲んじゃったの?」
怯えるような顔で見つめてくる自分自身から、精液を搾り取りたい。
「なあ、美久。今度は俺のマ○コに、射精してくれよ」
「え、で、でも……」
「なあ、頼む」
そんな願いに、至(美久)は、戸惑った様な顔を浮かべていた。
それを表すかのように、放出を終えたペニスも、その大きさを失い、ぐにゃりとしていた。
だが、そんなことなどお構いなしに、挿入されたいと思っている翔子(至)は、いつも翔子がやるような、誘いの仕草を思い当たった。
スカートとパンツをおもむろに脱ぎ、股間をさらけ出し、背中を向け、丸出しにした股間を突き出す。
「ねえ、わたしのオマ○コに、オチン○ン欲しいの。気持ち良いわよ、わたしのオマ○コ。オチン○ン、ねちょねちょに、ぐちょぐちょに包み込んで、あ・げ・る……」
口から漏れる声は、自分でも興奮してしまうぐらいに、いつもの翔子が求めてくる時のものだった。
だが、そんな誘いが、体は至のものだが、心は女である美久に通じるかは分からなかった。
「ねえ、ちょうだい。オチン○ンでわたしを滅茶苦茶にして。精液、どぴゅどぴゅって出して……」
そう言いながら、後ろを振り向くと、至(美久)は、再び勃起し始めたものを掴みつつ、伺うようにこちらを見つめていた。
「お、お兄ちゃん……いいの?」
「ええ、ちょうだい……」
口から、男を惑わし、とろけさせるような声を漏らすと同時に、自ら腰を動かしていき、勃起しているものの先端へと、股間の濡れそぼった部分をあてがった。
「い、いくよ……」
その言葉と同時に、硬いものが、翔子(至)の膣へと入ってきた。
膣内へは、自分の指や翔子の指が入ってきたことがあったが、男のものは――自分自身のものは、それとは桁違いだった。
「あ、あぁ……すごい……太くって、お腹が膨れあがりそう……」
思わず声を上げつつ、トイレの壁へと、爪を立ててしまっていた。
その硬さ、大きさ、圧迫感に、まるで全身が広げられそうな気持ちになっていた。

(ああ、これが女の人の中……お姉ちゃんの中……)
美久にしてみれば、童貞喪失とでも言って良いような行為であり、そしてオナニーやフェラチオとはまったく違う快感だった。
あの、先端が丸くて途中でくびれていて、根本まで結構な長さのあるペニスを、余すことなく、細い襞々が包み込んでくるのだった。
股間からせり出した男の性器が、すっぽりと収まっているだけでなく、その膣襞はうねうねと動き、さらに奥へ奥へと、男のものを引き込もうとしているかのようだった。
「ああ、これがオチン○ンの本当の気持ちよさなんだ。オマ○コって、こんなにぐにゅぐにゅ動くんだ」
深々と埋め込んだ男のもので、美久は女の中を味わっていた。
それはまるで、ペニスだけでなく、体全体をそのまま中へ入れたいと思うほどに、淫らで卑猥で蠱惑的で、そして何より気持ち良かった。
奥へと入れたままのペニスが、新たな刺激を求めているのが感じられる。
美久は、男の本能に流されるままに、自然と腰を動かしていた。
いつも、至が美久にしてくれるようないたわるようなものではなく、初めてセックスを知った童貞少年のような、力任せで、ぎこちないものだった。

(ああ、俺の中に、俺のものが入ってきてる……)
ぐちゅり、ぐちゅり、と音がする度に、翔子(至)の膣内は、圧迫感と喪失感を繰り返し味わっていた。
それはまるで、体の中に棒を入れられて、全身を掻き回して、快感を撒き散らかしているかのようだった。
「あぁん……あはっ! ああん……」
至の口からは、いつも以上に翔子の艶っぽい嬌声が響き渡る。
股間から伝わってくる、ぎこちなく、スムーズさとは程遠い腰の動きも、至を興奮させる要因の一つだった。
(ああ、この動き方。俺が初めて翔子ねぇとセックスした時みたいだ)
あの時も、翔子のリードのままにペニスを入れて、無我夢中で腰を振り動かしていったのだった。
まるであの時の様子を、今度は翔子の側から再体験しているかのようだった。
翔子の体で感じる、二度目の初体験。二度目の童貞喪失。
あり得ない出来事、あり得ない体験、そして、あり得ない快感だった。
時おり、ペニスが抜け出てしまい、あっ、と声を上げながら、慌てて再度挿入するところまで、至の初体験そのままだった。
そして、至の時がそうだったように、今回も挿入から射精へは、瞬く間のことだった。
「ああ、お兄ちゃん。あたし、出ちゃうよ」
「いいのよ。出して、出して。わたしの中に、出してぇ」
今でも記憶に残っている、姉の声を真似するように、至は求め、喘いだ。
男の力強い手で腰が押さえつけられ、その中心に、まるで種付けをするかのように、これまで以上に深々と、ペニスが挿入された。
「出る、出ちゃうぅぅぅぅぅ!」
びゅくり、と膣のさらに奥の方へと、どろりとした熱いものが流しこまれた。
それは、媚薬のように、至を女の絶頂へと導いていった。
「イクぅぅぅぅぅ!!!!!」
まるで、精液が火のついた火薬のように、至の中で爆ぜる。
「あはぁぁぁぁぁーーーー」
全身がぶるぶると震える中で、至の中へと入ってきているものは、男の体から精液を絞り出すように、どぴゅり、どぴゅり、となおも射精をしてくるのだった。
「あはぁ……」
快感の余韻、というのには強烈すぎるほどの絶頂時の衝撃が、至の体の中に、いつまでも渦巻き続けたのだった。

家に帰った三人は、再びリビングへと集まっていた。
「さてと。それじゃあ、いよいよ階段から落ちてみようか」
宣言するように言ったのは、翔子(至)だった。
美久(翔子)とのレズ体験や、至(美久)とのセックスなど、彼にとっては十分過ぎる体験をしたのだから。
「ちょっと待ってよ」
そう言ってきたのは、美久(翔子)だった。
「まだ組み合わせが残っているじゃない」
言って、自分と至(美久)の顔を、順番に指さした。
「それはそうだけど……」
好喜心、ではなく好奇心旺盛な姉だったら、そう言ってくるんじゃないかとは、至は予想していた。それを防ぐためにも、家に帰るなり、階段落ちを試そうと提案したのだったが。
問題は、妹の美久の方だ。
「お前はどうなんだ?」
問われるなり、至(美久)は俯いて、もじもじと体をくねらせた。
これが美久本来の姿であれば、いつもとは違った照れた感じに萌えるのだろうが、自分自身の体がそんなことをしているのを見るのは、むしろ萎える。
「あたしも、お姉ちゃんとはしてみたいな……あ、お姉ちゃんって言うのは、今はお兄ちゃんの体になっている方のお姉ちゃんだよ」
「そうか。まあ、それなら仕方ないな」
自分は二人を相手にしてエッチなことをしてしまったため、それを止めることも出来なかった。
「それじゃあ、決まりね。部屋はどうしようかしら。なんだったら、いーくんの見ている中、このリビングでやる? あぁ、体が入れ替わってしまった姉と妹の倒錯的なプレイを、壁の陰から市原○悦子ばりに覗いてくる兄、そしてついには、これまですることのなかった、禁断の3Pへ。うーん、なんだか興奮するわ」
言いつつ、美久(翔子)は、これみよがしに、小さな乳房を鷲づかみし、揉むような仕草をした。
「部屋でやってくれ」
姉の言葉を、至はあっさりと一蹴した。
「それじゃあ仕方がないわね」
美久(翔子)は立ちあがって、椅子に座ったままだった至(美久)の手を取って、二階へと連れていったのだった。
美久(翔子)はそのまま、いつも入り慣れた自分の部屋へと入った。
「あ、お姉ちゃんの部屋……」
引き入れられた至(翔子)が、姉の部屋に入るのは久し振りのことだった。
両親が再婚し、この家に住むようになってしばらくは、昔と同様に、お互いの部屋に遊びに行っていたりしたのだが、二人ともが至と付き合うようになってからは、自然と疎遠になってしまっていた。
どことなく、懐かしさと、ちょっとした居心地の悪さが感じられたのだった。
「さてと、それじゃあ、座って」
本来は自分の部屋ということで、美久(翔子)は、どすりとベッドに腰掛けて、その横に座るよう促した。
並んで座った二人は、お互いの顔を、まじまじと見つめた。
「やっぱり、あたしが目の前にいるって、変な感じだね」
至(美久)の横には、自分自身の姿があるのだ。
鏡で見るのとは、左右がひっくり返った姿になっていないので微妙に異なっているし、なにより、自分自身を見下ろす立場にいるのが、不思議でならなかった。
至の姿で街に出た時には、それほど身長の高さは感じなかったのだが、こうやって比較するものがあると、その変化は歴然としていた。
「ねえ、触っていい?」
「ええ、いいわよ」
至(美久)の手が伸び、自分自身の頬へと指先が触れる。
「あ、なんだか、いつもよりぷにぷにって感じられる」
自分の指先が男のものになっているからだろうか、普段よりもはっきりと、若い女性の肌ならではの弾力が感じられるのだった。
いたずら心を思いついた至(美久)は、自分の頬を軽く引っ張って左右に伸ばした。
「ふにー、ほら、変な顔」
「痛いじゃないの」
そう言ってくる美久(翔子)は、そう怒った風でもなく、妹の遊びを軽く受け流すのだった。
「お姉ちゃんはどう? あたしの体になってみて?」
「うーん、やっぱり妹の体だから、そんなにすごい違いってのはないわね。まあ、身長とか、胸のサイズは違うけれど、困るってほどじゃないし」
「そうだよ。無駄に大きい背とかバストなんて、有限な地球の資源の無駄遣いだよ」
なんだか分からないことを、至(美久)は言った。
「それに、目の前には見慣れたいーくんがいるし」
「でも、中身はあたしなんだよ」
「そうなのよね。それでつい、戸惑っちゃうのよね。だから、いつもは、いーくんとの間だけの会話、挙式はいつにしようとか、子供は何人欲しいとか、ところで最近アレが来ないの、なんて言いそうになっちゃうのよね」
「そんなこと言っているの!」
姉の言葉に、至(美久)は思わず声を上げた。
「なんてね、冗談よ。冗談。そんなこと言っている訳ないじゃない」
「そうだよね」
「そうよ。言っているのは、愛人としての美久には、お手当をいくら出そうか、ってことよ」
「余計悪いじゃない!」
「それも冗談よ。愛する二人に、言葉なんて要らないのよ」
言うなり美久(翔子)は、顔を近づけて、唇を奪ったのだった。
「な、何をいきなり!」
「ああ、ご免。いーくんの顔だから、いつもみたいに、ついキスしちゃった」
「そりゃ、お姉ちゃんは良いとしても、あたしは、自分自身とキスすることになるんだよ」
「いいじゃない。オナニーみたいなものだと思えば」
「オナニーみたいなキスって何よっ!」
「わたしが知る訳ないじゃない。思いつきで言っただけなんだから」
見た目は自分自身だが、その発言や雰囲気は、やはりいつもの姉だった。
「だったら、自分自身とキスって思うんじゃなくって、いーくんの視点でキスをしてみると思えばいいんじゃないの?」
「うーん」
「それじゃあ、もう一度」
リードするかのように、美久(翔子)は、首筋へと腕を絡めて、相手の顔を近づけさせ、唇を絡めていった。
「ん……」
二人の口から声が漏れる。
右手で相手の後頭部をなぞりつつ、翔子は左手を、逞しい男の体をなぞりながら、ゆっくりと降ろしていった。
美久(翔子)の指先へと、ズボンの上からでもはっきりとその固さが分かるものの感触が伝わってくる。
「あ、お姉ちゃん……」
何度触っても、何度触られても慣れることのない、男の一番敏感な部分を弄られて、至(美久)は思わず声を上げる。
「おふふ。いーくんのオチン○ン。美久の体についたオチン○ン……」
恥ずかしがらせるように、翔子は耳元で、低く囁いた。
「そんな……お姉ちゃん」
「ねえ、このオチン○ンでオナニーとかセックスとかしたの?」
自分自身は女の体のままである翔子は、興味深げに尋ねた。
「う、うん……」
「じゃあ、射精したの。何回出したの?」
「オナニーで2回と、お兄ちゃん相手に2回……」
「それじゃあ、あたしも最低4回だよ」
いつもの美久の口調に、悪戯っぽさを交えて、翔子はそう言った。
「お姉ちゃん、それ、あたしの口癖……」
「だって、美久ってば、いつもわたしといーくんの回数を引き合いに出すから。
でも、分かっているのよ。本当は何回でもして欲しいんだけれど、恥ずかしいから、わたしをだしにしているんでしょ」
図星を付かれて、至(美久)は、答えられずにいた。
「そうやって美久はいつも、いーくんに甘えるようなエッチをしているの?」
「う、うん……やっぱりお姉ちゃんは、リードする感じなの?」
「まあね。あーあ、美久はいいわね。わたしもたまには、いーくんに甘えてみたいわ」
「あたしだって、たまにはお兄ちゃんにもっと積極的にエッチしたいよ」
「美久はそう思っているんだ。それだったら、三人の体が入れ替わるんじゃなくって、わたしたち二人が入れ替わってれば良かったわね」
「そうだね」
そんなやりとりの合間にも、翔子の指先はペニスを擦り続けていた。
「ふふふ。苦しそうね。
ねえ、男の射精って、どんな風に気持ち良いの?」
「あのね、なんて言うか……女の子と違って、オチン○ンの部分だけが、すごく気持ち良いの。それで、なんだかおしっこがいつもの何倍も溜まったような気持ちになって、それが出したくて出したくてしょうがなくなってきて……どぴゅぅ、って射精すると、すごくすっきりした気分になるの」
「ふーん。そうなんだ。それで、セックスは気持ち良かった?」
「うん。お姉ちゃんのアソコって、あんなにぐにゅぐにゅ動くんだね。まるで、オチン○ンが吸い込まれるみたいだった」
「そうか。わたしの体とセックスしちゃったのよね。あーあ、せっかくだったら、美久の童貞、わたしが奪いたかったな。妹の童貞を奪う姉って、なんだか興奮しない?」
「興奮する前に、訳が分からないよ」
「残念。でも、今度もちゃんと、気持ち良くさせてあげるわ」
翔子の両手が、至(美久)をベッドへと押し倒してから、ズボンへと掛かったかと思うと、ベルトが外されて、ズボンが脱がされた。
そのまま、手慣れた手つきで、突っ張るように勃起しているペニスを避けつつ、トランクスも脱がし、下半身を裸にさせた。
「上も脱がないとね」
手早く至(美久)の上着を脱がせてから、靴下も取り、全裸へとさせる。
ベッドに仰向けになった体の中心で、勃起したペニスが、腹に貼り付くように大きくなっているのを見て、翔子は素早く手を添えてくる。
「ふっふっふー。いーくんのオチン○ンは、今日も元気におっきする♪ だけど今ではオチン○ンは、美久のものなんだよー♪ JARSAC出1234567-890」
なんだか分からない歌を口ずさみ、微妙に違う団体名を言いながら、翔子は、勃起したものを軽く突いてきた。
「お姉ちゃん。そんなにじろじろ見ないでよ」
「なんでー? いーくんの見慣れたオチン○ンじゃない。見られたって減るもんじゃなし、むしろ興奮して体積が増えるんじゃないの」
「でも、恥ずかしいから……」
「恥ずかしいの。それじゃあ、わたしも裸になってあげる」
「お姉ちゃん、それって何の交換条件にもなっていないって」
困惑する妹をよそに、翔子は一気に服を脱ぎ捨て、全裸になった。
「どう? 自分の裸を見るのは?」
翔子の言う通り、自分の全裸を見るのは変わった気持ちだった。
風呂上がりなどに鏡で裸を見ることはあるが、自分の体が全裸になって、自分の意志とは別に動いているのを見ると、体の自由を奪われるとは、こんな気持ちなのか、こんな気持ちなんだろうかと思ってしまう。
「今はわたしの体なんだから、こんなこともしちゃうんだよ」
言うなり翔子は、至(美久)の股間へと顔を近づけ、勃起したものを、口の中へと迎え入れた。
しゃぶり慣れた至のものではあるが、自分より小さな美久の口でしゃぶっているせいか、少し大きく感じられる。
違って感じられるのは触覚だけではなかった。その匂いも、いつもと少し違って、酸っぱいように感じられるのだった。
(ふーん、美久の体だと、こんな風な匂いに感じられるんだ)
自分と違う体、ということを意識しながら、翔子はいつものように至のものをしゃぶろうとするのだが、口や舌のサイズが違うためか、どうもうまくいかず、どうしてもたどたどしいものになってしまう。
(これって、なんだか初めてフェラチオした時みたい。なんだか懐かしい感じだな)
そんな思い出に浸っていると、
「痛い」
至(美久)がそう言ってくる。
慣れない口のせいか、思わず歯を立ててしまっていたのだった。
「失礼。噛みました」
蝸牛に取り憑かれたことがあり、いつも背中にリュックを背負った、ツインテールの小学生のような台詞を翔子は口にした
「やっぱり美久でも、オチン○ン噛まれると痛いんだ」
「当たり前でしょ。今は、お兄ちゃんの体なんだから」
「でも、オチン○ン舐められて、気持ち良かったりするんでしょ。だって、先っぽから、ガマン汁が出ているもの」
「それは……」
ペニスの先から先走りの汁が溢れているのが舌先に感じられていた。
いつもはしょっぱいと感じるのだが、体が違うためか、むしろ苦いように感じられた。やっぱり、まだ中学生の体なのだな、と翔子は思う。
「ふっふっふ。もうガマンできないって感じね。それじゃあ……」
言うなり翔子は、いつも至にするように、体の上に跨って、フェラチオの興奮によってすでに濡れている自らの股間を、至の股間へと近づけていった。
右手で至のものを押さえつつ腰を近づけていくと、割れ目へと亀頭が当たってきた。
さらに腰を下ろすと、めりめり、と股間へと、男のものが入ってくるのが感じられた。
その感触は、いつもの至のものを挿れた時よりも、ずいぶんと窮屈に感じられた。
普段であれば、まるで刀を鞘に収めるかのように、腰の動きに合わせてスムーズに入っていくのだが、今の体は、隙間に無理矢理、ものを押し込むかのようだった。
体が内側から押されるような圧迫感を感じつつ、翔子はなおも腰を下ろしていった。
「ああ、入った……」
完全に腰を下ろしてみると、体がペニスという杭で固定されてしまっているぐらいに感じられた。
「ああ、いつもより、太くて大きい……」
これが、美久の体で感じる至のものなのか、と翔子は思う。
そのまま、翔子は腰を上下へと動かしていった。
普段感じる、ふわりとした髪の毛が背中をくすぐる感じや、大きな乳房がゆさゆさと揺れる抵抗がなく、小柄な体は、スムーズに動かすことが出来た。
「ああ、あたしの体に、あたしのオチン○ンが出入りしているよ……」
翔子のなすがままになっている至(美久)は、弱々しげに声を上げる。
「ああ、わたしも気持ち良くなってきた……」
ペニスの大きさに圧倒されるような気持ちを感じつつ、翔子は腰を動かし続けた。
「ああ、出る、あたし、また、射精しちゃうぅぅぅぅ!」
至(美久)がぎゅっと目を閉じて、何かを堪えるような顔をすると同時に、翔子の膣内へと入っていたペニスの先端から、熱い塊が噴き出してきて、女の奥にある器官へとぶつかっていく。
「あはぁぁ……」
またしても、絶頂に至ることはなかったが、他人の体で初めて体験する射精をされる感じに、翔子は満足感を覚えていたのだった。

体の上で、自分自身の体がこちらを見下ろしてきながら腰をくねらせてくるだけでなく、そんな自分の中へと射精をしてしまったのは、美久にとっては不思議な感じだった。
(あたし、あたしの中に射精しちゃったんだ……)
自分が誰だか分からない気持ちのままに、射精したペニスが、自分自身の中で精液を吐き出すのに合わせて、小さくなっていくのが感じられた。
「ああん。わたしはまだ、満足できていないのに」
射精をされた美久(翔子)が、寂しげに言ってくる。
「ねえ、わたし、もっと気持ち良くなりたいよ。やっぱりセックスって言えば、射精されて絶頂に達しないと」
「でも、あたしの体、必ず絶頂になる訳じゃないから」
「やっぱりそうなの。まあ、美久ぐらいの歳じゃ、膣よりもクリトリスの方が感じるのも、無理はないわね。
ねえ、それじゃあ、今度はあたしのアソコ、舐めてくれない」
「え、それって……」
美久(翔子)のアソコを舐めるということは、自分自身のものを舐めるということだ。
ついさっき、今は美久のもののペニスをしゃぶってもらったものの、ちょっと抵抗がある。
そうやって戸惑いを見せていると、美久(翔子)は立ちあがって、こちらへ尻を向けて、愛液と精液に溢れた股間を見せつけ、
「ねえ、わたしのクリトリスとオマ○コ、弄って欲しいの。ねえ、お願い、指で触って、舌で舐めて。そうしたらご褒美に、わたしのオマ○コに、オチン○ン挿れて良いわよ。気持ち良いわよ、わたしのオマ○コ。オチン○ン、ねちょねちょに、ぐちょぐちょに包み込んで、あ・げ・る……」
どこかで聞いたような台詞を自分自身の声と体で言われるのは、不思議な感じがしたが、そんな気持ちとは別に、男としての体は、敏感に反応していた。
股間がむくむくと膨れあがり、また挿入したくなってきたのだった。
美久(翔子)は、しばらく尻を振って、誘うような仕草をしてから、再び美久と向かい合うようになってから、ベッドへと腰を下ろし、足を広げ股間を見せつけてくる。
そんな様子を見ていると、単に挿入したい、というのとは別の気持ちが湧き起こってくるのだった。
何度も射精をして、男の思考パターンが身に付いてきたのか、目の前にいる自分自身の体を愛撫したい、という感情が湧き起こってきたのだった。
(なんだろう……この気持ち……)
女の体にはない、女の体を征服するという気持ちに揺り動かされるように、美久は、目の前にある股間へと近づいていった。
目の前には、鏡で数回しか見たことのない、美久自身の性器がさらけ出されている。
(あたしのアソコって、こんな風になっているんだ……)
いつも至に見られ、至のものを受け入れている部分だったが、想像していたよりも整った感じだったことに、美久は安堵感を覚えた。
(ああ、これがあたしの匂いなんだ……)
精液と愛液にまみれた股間からは、いやらしく汗ばんだ匂いが伝わってくる。
いつもであれば、精液の方に興奮を覚えるのだが、今は不思議と、女の匂い、自分自身の匂いの方に気が向いていた。
(ああ、なんだか興奮してきちゃう)
誘われるように、美久は女性器へと舌を伸ばし、クリトリスを軽く突いた。
「あぁん。いーくんが舐めてきているのに、いつもと感じが違うから、なんだか新鮮な感じ……」
美久(翔子)が、嬉しそうにそう言ってくる。
上目遣いに彼女の顔を見ながら、舌先で、つん、つん、と突起を触ってみると、その度に自分自身の体が、びくん、と跳ねる。
「ああん。はぅぅ……」
まだ幼い体がのけぞり、成長途中の胸元がそり上げられる。
「ああん。いつもと違うから……なんだか敏感になっているみたい……」
姉の口調で、自分自身の声と体がそう言ってくる。
そんな姿を見ていると、さっき感じた感覚、男として、女を快感に導くという征服感が頭をもたげてきた。
しかも、その中にいるのは、いつもは頭の上がらない姉の翔子なのだ。
仕返しのチャンスとも言えた。
さらに都合のいいことに、今の翔子は、美久の体にいるのだ。
どこを触れば感じるのか、どうすれば気持ち良くなれるか、誰よりも知っている自分自身の体だ。
美久はクリトリスを重点的に責め立てた。
強く擦るようなことはせず、あくまで焦らすかのように、優しく、いたわるようにだった。
これが、美久の一番感じる愛撫の仕方だった。
「あ、あぁ……美久、気持ち良いわよ。こんな気持ち良さって、初めて……わたしの体と、まるっきり違う」
両手で上体を支えていた美久(翔子)だったが、我慢できなくなったのか、体をベッドへと倒した。
ベッドの上で、幼い体を悶えさせ、くねらせ、喘ぐ。
「ああ、イクっ、イクっ、イクぅぅぅぅ!!!!」
びくん、とひときわ大きく体を震わせるなり、それまでくねらせていた美久(翔子)の体の動きが止まった。
「お姉ちゃん、あたしの体でイッちゃったんだ。どうだった? あたしの体は?」
「う、うん……いつもは、体が爆発する感じなんだけれど、今はまるで、体が宙に浮かぶみたいだった……」
姉の言う通りだ、と美久は思った。たまの絶頂を感じる時、美久は体の感覚がなくなって、宙を漂っているような感じになるのだった。
美久は、絶頂に達した己の顔を覗き込んだ。
その表情は、自分自身でも見ることのないような、とろけたような、満足感に満ちたようなものだった。
そんな顔を見ていると、本来の美久にはないはずの、男としての征服感が満たされると同時に、それをもっと得ようとするのだった。
「お姉ちゃん。それじゃあ、美久の体でもっと気持ち良くしてあげるよ」
美久はひくついている割れ目へと、勃起したものを、ずぶりと挿れた。
割れ目からは、たまに自ら指を挿れる以上の、強烈な抵抗感と締め付け感が伝わってくる。
(ああ、これがあたしの膣(なか)なんだ……あたしが、あたしを犯している。あたしの中に、あたしがオチン○ン、挿れている……)
さっきは騎乗位と違って、今度はこちらが優位に立っているせいか、今の状況に、より興奮することが出来た。
「ああ、良いわ。気持ち良いわ。美久のオチン○ン、わたしの中に入ってる」
「ねえ、お姉ちゃん。もっと気持ち良くなって、美久の体で、美久のオマ○コで、またイッちゃって……」
美久は、至がいつもしてくるように、上体を降ろして、体を密着させる体位を取った。
全身を貼り合わせつつ、繋がった股間を、こね回すように動かしていく。
美久は、至の体を通じて、セックスに溺れる自分自身の体を感じていた。
とろけるような表情、ほっそりとした腕と指先、まだ淡い膨らみの胸元、柔らかい腹部、濡れて男のものをきゅうきゅうと締め付けてくる割れ目、みっしりとした太もも、いずれも自分のもののはずなのに、今はそれを他人の体、至の体で感じているのだ。
「ああ、もう、イクぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
つんざくような甲高い叫び声と共に、美久のものを、美久の膣が、きゅうきゅうと締め付けてきた。
「あ、あたしも、出ちゃう……」
どぴゅぅぅぅぅ
美久の体から溢れ出た男の精液が、ペニスを通って、美久の体へと入っていく。
自分自身への射精。
一度では収まらず、絞り出すように出続ける精液を感じながら、これが、いつも至があたしを相手にして感じている快感なのだ、と思い、美久は満足感に浸るのだった。

「さてと、あんまりいーくんと待たせてもいけないから、そろそろ戻りましょうか」
しばらくの間、ぐったりとしていた美久(翔子)が、ゆるゆると体を動かしながら、そう言ってきた。
「階段から落ちてみるの?」
「ええ、そうよ」
「ちゃんと元に戻るかな?」
「多分、戻ると思うけれど……一回で元に戻るかは分からないわね」
「それでね、あたし、お願いがあるんだけれど……」
「なあに?」
ちょっとしたやりとりを終えてから、二人はシャワーを浴びて身を整えてから、翔子(至)の待つ、リビングへと戻った。
「お待たせ」
美久(翔子)が、軽く手を上げて、そう言う。
「翔子ねぇも美久も、もう満足したのか?」
「う、うん。オマ○コが満ち足りているって書いて、略して満足」
「いや、それって後半だけで、文字は足りているから、前半部分、不要だし」
至は美久(翔子)にツッコミを入れる。
「それじゃあ、さっそく始めようぜ」
三人は、部屋から布団を持ってきて、階段の途中と、その下へと置いてから、揃って階段の上へと立った。
「あの時はアクシデントだっけれど、こうやって意識して落ちるとなると、結構恐いわね」
「そうは言っても、このままでいる訳にもいかないし……」
「そうだよね」
リードするように、翔子(至)は、二人の腕を掴んだ。
「それじゃ、俺が合図したら、一緒に落ちるんだぞ。
じゃあ、1、2の3」
三人の体が、階段を転げ落ちていった。
今回は布団を敷いているため、階段にぶつかる痛みは少なく、むしろ他の人の体にぶつかる方に痛みを感じてしまう。
そして階段から落ち終えたのと同時に、三人は意識を失ったのだった。

最初に意識を取り戻したのは、至だった。
あの時と同じだったのか、その時にはもう、夜が明けて太陽が昇り始めているのが感じられた。
至は、辺りを見回した。
そこには、翔子と美久の倒れる姿があった。
(ってことは……)
至は体を見下ろした。
その視線の高さ、着慣れた服、筋肉の付いた手足、いずれも、至のものだった。
「戻ってる!」
そう叫んでから、念のためにと至は股間に手をやると、そこには触り慣れたものが付いているのだった。
(そうだ。二人を起こさないと)
「おい、翔子ねぇ、美久」
至は二人の体を揺さぶった。
翔子と美久は、体を起こし、しばらくぼんやりとしていた。
「どうだ? 体は戻ってるか?」
言われるままに、二人は自分の体を見下ろした。
「あ、うん。あ……わたし、ちゃんと戻ってるよ」
しばらく自分の体を見下ろしていた翔子が、驚いたような顔をして言ってきた。
「よかった。これで成功だね」
美久も嬉しそうに言ってくる。
「よかったな。これで、元通りだ」
「本当によかったね。それで、あ……わたし、お願いがあるんだ」
「なんだ、翔子ねぇ?」
「せっかく元に戻ったんだから、三人でエッチしない?」
「え、三人って言うと……」
言われた至は、美久の顔を、彼女はこくりと頷いた。
「う、うん。あたしも、したいな……三人で……」
至が二人と付き合っているのはもはや公認となっていたが、三人で、というのはこれまでにないことだった。
それは、至にとっても興味のあることではあった。
「そ、それじゃあ、二人が言うのなら……」
そう言って至は、二人と共に、彼の部屋へと向かったのだった。
「さ、三人一緒だと、ちょっと緊張するね」
至の部屋に入った翔子が呟いた。
「そうだよね。でも、このままでも何だから、せーの、で裸にならない?」
脇から、美久が言ってくる。
「そうか。それじゃあ、せーの」
至の言葉を合図に、三人は服を脱ぎ始めた。
男の方が脱ぐのは早く済むだけあって、至が全裸になった時には、二人の姉妹は、下着を脱ぎ始めたところだった。
至は、見比べるように二人を交互に見ていった。
顔立ちは似ているが、体つきの差は歴然だった。
スタイルの良い翔子と、まだ子供っぽいとも言える美久。
そんな二人を見て、どちらが良いかと思うのではなく、それぞれの性格に合っているなあ、と至は思うのだった。
「それじゃあ、まずはあたしたちで、お兄ちゃんを気持ち良くさせようよ」
言うなり美久は、至に抱きついて、そのままベッドへと押し倒した。
首筋へと両手を巻き付け、甘えるように顔を擦りつけてから、ぷっくりとした唇を重ねてくる。
至の視界一杯に、うっとりと目を細めてキスをしてくる、美久の顔が見える。
そんな表情に、至は自然と手を伸ばして、彼女の後頭部へと頭を添え、ショートカットの髪の毛を撫でた。
ちゅぱり、と音を立てて、美久の唇が離れる。
「えへへ、嬉しいな。またこうやって、美久の体に戻ってお兄ちゃんに甘えられて」
にこりと美久は笑みを浮かべる。
「ほらほら、お姉ちゃんは、お兄ちゃんのオチン○ン、気持ちよくさせて。あたしはキス担当だよ」
言うなり美久は、再び唇を重ねてきた。
小さく整った唇が当たってくるのと合わせて、その合間から、柔らかい舌先が入ってくるのが感じられた。
いつもの美久は、積極的に舌を入れてくることはなかったのだが、これも、さっき言っていた、気持ちよくさせるってことかと思い、至は妹の舌先を、自分の舌で迎え入れた。
美久の舌先が、至の口中で動き回る。
歯や歯茎、頬や口の裏側を探ってくるような動きは、至の温もりを少しでも味わおうと感じているように思えた。
(美久……)
口を塞がれたまま、その名を脳裏で呟きつつ、至は舌を絡め、吐息を混じり合わせる。
そんな中、股間へと、ぽわんとした柔らかいものが触れてくるのが感じられた。
視界はキスを求めてくる美久の顔にふさがれていて見ることは出来ないが、それが翔子の乳房だということは、包み込まれるような感触から、すぐに分かった。
目の前に子供っぽい顔をした美久がいる中で、ペニスへと翔子の巨乳によるパイズリを感じる。
翔子と美久という、対照的な姉妹二人から同時に愛撫されているのだ、という興奮と共に、わずかな罪悪感を感じてしまう。
そんな思いは、翔子の方も感じているのか、ペニスを包み込んでくる乳房の動きは、どことなくぎこちなかった。
それでも、至のものをすっぽりと挟み込んでくる乳肉の柔らかさに、思わずうっとりとしてしまう。
「ねえ、気持ち良い? いーくん?」
美久を気遣ってか、遠慮がちに翔子は聞いてきた。
ふさがれていて答えることの出来なかった唇から、美久の唇が離れた。
「ほら、お兄ちゃん。ちゃんとお姉ちゃんの質問に答えてあげないと」
気を利かせてか、美久がそう言ってくる。
空いた視界を下に向けると、こわごわとした手つきでパイズリをしながら、上目遣いに心配そうに、こちらを見つめてくる翔子の顔があった。
「うん、翔子ねぇのパイズリ、気持ち良いよ」
「そう。良かった」
至の言葉に安心したのか、翔子はペニスを包む自らの巨乳を、手触りを確認するようにしながら、上下に動かしてくるのだった。
「ねえ、お兄ちゃん。美久のキスと、お姉ちゃんのパイズリ、どっちが気持ちよかった?」
「え、そ、それは……」
「そんなこと聞いたらダメよ」
美久のいたずらっぽい言葉に、至と翔子が困ったような声を上げる。
「そうだよね。別の場所じゃ、比べられないものね。それじゃあ、あたしとお姉ちゃんが、一緒にお兄ちゃんのオチン○ン舐めて上げる」
言うなり美久は、顔を至の下半身へと向けていって、パイズリする翔子を押しのけて、ペニスへと、さっきまで至と絡ませていた舌先を伸ばしてきた。
亀頭の先端に、パイズリとは違う、ねっとりとした粘膜の感触が伝わってくる。
「ほらほら、お姉ちゃんも早く」
美久は招き入れるように、ペニスの左側へと体を動かし、雁首の左部分を舐めつつ、目で姉を促す。
「そ、それじゃあ……」
おずおずと、翔子の顔が、ペニスの右側へと近づいてきた。
勃起して上を向いているペニスの左右へと、翔子と美久の顔が並び、口から伸びた二人の舌先が、奪い合うようにして、亀頭を舐めてくる。
それは、いやらしい光景だった。
翔子と美久が顔を揃えて、1本しかない至のペニスへと、舌先を触れてくる。
その感触は、微妙に異なっていた。
翔子の方はぺったりと貼り付くような感じで、美久の方はざらざらとした感じがするのだ。
同時に舐められて初めて気付いた違いに、妙に感心してしまう至であったが、大人っぽい翔子と、まだあどけない美久の顔を見ていると、違いがあるのも当然かな、と思ってしまう。
そんな二人の視線は、揃って至の方を向いていた。
二人同時が送ってくる、上目遣いの視線は強烈だった。
「ねえ、お兄ちゃん、どっちの方が気持ち良い?」
「そ、それは……」
「ねえ、どっちなの。はっきり言ってよ」
すねたような顔を見せつけてきながらも、美久は合間にフェラチオをしてくるのだった。
「気持ち良いと思った方の頭を撫でて」
そう美久が訴えてくるのに対して、至は二人の頭を同時に撫でたのだった。
ちょっと嬉しそうな表情と、かなり不満そうな表情を、二人は同時に浮かべた。
「でも、経験の差があって同じ気持ち良さってことは、実力から言ったら、美久の方が勝ちってことだよね」
それまでずっと至を見つめていた視線を姉へ向けて、美久は挑発するように、疲れるぐらいに強引な論法でそう言ったのだった。
「同じことをしていたら、あたしに勝てないよ。どうする、お姉ちゃん? 思い切って、お兄ちゃんのお尻の穴を舐めてあげたりしたらどう?」
翔子と至の間では、そういうことがされていると思ってか、美久がそう言ってきた。
「おい、美久。俺たち別に、そんなことしていないよ」
「でも、お姉ちゃんだったら、それぐらいのこと、できるでしょ」
そんな二人のやりとりを黙ったまま見ていた翔子は、意を決したように頷いたかと思うと、その頭を至の両足の合間へと入れてきた。
至が止める間もなく、下半身が翔子の手によって持ち上げられる。
さらに、そんな姉を手伝うように、至の下半身を持ち上げる手に、美久のものも混ざってくる。
姉妹二人がかりで持ち上げられた下半身は、おむつを換えられる赤ん坊のように、さらけ出されてしまった。
「翔子ねぇ。そんな場所、汚いよ」
だが、初めて感じるアヌスへの吐息に、至の欲望は抵抗することができなかった。
ぬるり
隠された敏感な場所へと、翔子の舌先が当たってくる。
初めて体験する行為に、至の脳裏に最初に浮かんだのは、翔子の体に入ってしまった時に、性器を舐められたことだった。
どことなく、女性器を舐められるのに似た感覚と行為は、思わず至を受け身にしてしまう。
「あうぅ……」
至はつい、弱々しい声を出してしまう。
くすぐったさと恥ずかしさ、そして気持ち良さが入り交じる。
すっかり、翔子のアナル責めを受け入れるばかりになっていた。
「ねえ、お兄ちゃん。お尻の穴、舐められて気持ち良い?」
「う、うん……」
「ふーん、そうなんだ。それだったら、今度からは毎回舐めちゃおうかな……
あ、ちゃんとお姉ちゃんにお礼を言わないとダメだよ」
「あ、うん。ありがとう、翔子ねぇ」
至の体に隠れて顔を見ることは出来ないが、舌先の動きがさらに熱心になったことで、気持ちは伝わったかな、と至は思った。
「それじゃあ、あたしもお兄ちゃんを気持ちよくしてあげる」
そう言ったかと思うと、美久は至のペニスを、ぱくりと咥えた。
じゅるり、じゅるり、と唾液を絡ませ、ペニスを吸い立てる音をさせながら、いつも以上に熱心にしゃぶってくる。
アヌスを舐めてくる翔子を意識してか、まるでいつもの翔子がしてくるかのように、熱心な舌さばきを、小さな美久の口がしてくる。
「ああ、二人とも、気持ち良いよ」
至の声は、自然と上擦ったものになっていた。
淫らな音を立てながらペニスをしゃぶっていた美久の口が離れた。
「ふふ、お兄ちゃんのオチン○ン。すっごく大きくなってる……もう、口なんかじゃ我慢できないんでしょ」
興奮に酔っているのか、誘うような大人びた口調で、美久が言ってくる。
「う、うん……」
「それじゃあ、最初はお姉ちゃんに挿れさせてあげる。その代わり、美久はお兄ちゃんに甘えさせて欲しいな。お兄ちゃん、美久を気持ちよくさせて……」
言うなり美久は立ち上がり、膝立ちになって、自らの股間へと指を添えた。
「ほら、見て。美久のオマ○コ、こんなに濡れちゃってる。今度はお兄ちゃんが舐めて……」
「ああ、良いよ」
「ありがとう! お兄ちゃん」
いきなり美久は、体を倒して至に寄り添うようになったかと思うと、腕を絡めて、ぐいぐいと顔を押しつけてきた。
嬉しそうな顔をしばらく見せつけられていると、
「ねえ、わたしが最初で良いの?」
妹を気にしてか、翔子がそう尋ねてきた。
「良いの。それじゃあ、お姉ちゃんはいつもみたいに騎乗位でお兄ちゃんを気持ちよくさせて。美久はお兄ちゃんのお口で気持ちよくしてもらうから」
そう言ったかと思うと、美久は膝立ちになり、その濡れた股間を、兄の口の手前へと近づけた。
至の鼻先には、嗅ぎ慣れた美久の香りが漂ってくる。
彼は舌先を伸ばし、まだあどけなさを残す割れ目へと舌を伸ばす。
「あぁん。美久の恥ずかしい場所、お兄ちゃんに舐められるなんて、なんだか不思議な感じ。でも、気持ち良いよ。お願い、もっと甘えさせて。もっと気持ちよくさせて」
美久が腰をくねらすと同時に、絞り出されるようにして、割れ目から生暖かい汁が溢れてくるのを、至は舌先で拭っていった。
「ああ、良いよ。お兄ちゃんの舌、気持ち良いよ……」
仰向けになった至の目の前で、美久は小さな口から喘ぎ声を漏らし、小柄な全身をくねらせる。
そんな中、いったん解放されていたペニスが、再びほっそりとした手によって握られた。
至の腰へと、翔子が体を乗せて、騎乗位を取っているのが感じ取れる。
ぬるり、とペニスが柔らかい膣襞に包み込まれていくのが伝わってくる。
騎乗位ならではの、上から覆い被さり、包み込んでくるかのような圧倒感だった。
至のものが、翔子の中にすっぽりと収まったところで、彼女が声を掛けてきた。
「ねえ、気持ち良い? いーくん?」
「うん、気持ち良いよ、翔子ねぇ」
「そ、それじゃあ、動くよ。よいしょ、っと」
根本まで包み込んでいた膣襞が、ペニスを上へとなぞっていくのが感じられる。
半ばまで来た時に、再び、腰が下ろされ、ペニスが包み込まれる。
いつもだったら、抜けるか抜けないかのぎりぎりまで腰を動かす翔子だったが、目の前には美久がいるためか、どことなくぎくしゃくとした動きだった。
それでもだんだんと調子を掴んできたようで、腰の動きがスムーズになってきた。
じゅぷり、じゅぷり、と男と女が混じり合う音が響くのを聞きつつ、それに合わせるようにして、美久の股間を舐め続けていく。
「どう? お姉ちゃん。お兄ちゃんとのセックス、気持ち良い?」
美久は、至ではなく、背後の翔子に向かって、そう尋ねた。
「気持ち良いんだけれど、美久が目の前にいるから、いーくんの顔が見えないの……」
「ああ、そうね。それじゃあ、ちょっと悔しいけれど、どいてあげるね」
美久が体を持ち上げ、至の口から離れると、至の視界には、いつものように騎乗位で見下ろしてくる翔子の姿があった。
「ああ、いーくんが見える……」
いつも以上に満足げな顔で、翔子は嬉しそうに笑った。
「ほらほら、お姉ちゃん。もっと腰を動かさないとダメだぞ」
至から離れていった美久は、翔子の背後に回って、そう言ってきた。
「それじゃあ、あたしはお姉ちゃんを気持ちよくしてあげるね」
言うなり、美久の小さな手のひらが、翔子の背後から、騎乗位の中で上下に揺れている乳房を鷲づかみにした。
「あっ、おっぱい揉まれるって……こんな……」
「ほらほら、あたしに構っていないで、お兄ちゃんをもっと気持ちよくしてあげないと」
「う、うん……」
至のものを咥え込んでいる翔子の腰が、上下に動いていく。
その度に、至の亀頭から雁首、陰茎が、柔らかくうねる膣襞にくすぐられていく。
「ああ、気持ち良いよ。翔子ねぇ」
「嬉しい……」
仰向けになりながら、翔子の騎乗位が与えてくる快感に呻く至を、翔子は満足げに見下ろしてくる。
その背後からは、美久の手のひらが翔子の巨乳を弄(もてあそ)ようにこねくり回してくるのが見て取れる。
妹に乳房を責められ、体をくねらす姉。
つい先日、自分がその立場になった至は、その時の気持ち良さを思い起こしていた。
「ああ、こんなのって……いつもと全然違う……おっぱいもアソコも、すごく気持ち良い……なんだか変……体が、爆発しちゃいそう……こんなのって……」
そんな翔子の言葉に、彼女の限界が近いのを感じた。
それに合わせるように、膣襞の絡み具合も、さらに激しくなってきた。
まるで、そこが独自の意識――性器としての意識――でも持っているかのように、うねうねと蠢き、至るのペニスをなぞりあげてくるのだった。
「翔子ねぇ……俺、イキそう……」
「ああ、出して、出して、あたしの中に、精液出してぇぇぇぇ」
翔子の腰が、ペニスを搾り取るように、深々と包み込んできた。
膣に挟まれたものの先端から、激しい欲望の塊が、翔子の中へと流れ込んでいく。
「ああぁぁぁーーーーー!!!」
体をのけぞらせ、絶叫をあげたかと思うと、がくり、と翔子の体が倒れそうになる。
それを後ろにいた美久が、体を抱え込んで、崩れ落ちるのを防いだのだった。
「翔子ねぇ……?」
心配げに至が尋ねる。
しかし、翔子からの返事はなかった。
「うーん。お姉ちゃん、気持ちよすぎて失神したみたいね」
背後から顔を覗き込んでいた美久が、困ったような顔をしながら言ってきた。
「失神って。翔子ねぇが?」
これまでのセックスで、翔子が失神したなんてことはなかった。むしろリードされる側の至の方こそ、失神するのではないかと気持ちよくさせられているぐらいなのだから。
「大丈夫かな?」
至は素早く上体を起こして、まだ埋め込まれたままのペニスを翔子から引き抜き、抱きかかえるようにして翔子の体を持ち上げ、ベッドへと横にした。
「うーん。慣れない体験でびっくりしちゃったんだと思う。多分大丈夫だよ」
「本当に大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。これって女の勘って奴だから。
ねえ、それよりも、今度は美久の番だよ」
座り込んでいた至へと、美久が飛びつくように抱きついてきた。
「でも、翔子ねぇが……」
「このままにしておいた方が落ち着くんじゃないの。多分、お姉ちゃんも、怒らないと思うよ」
「そうか……」
翔子のことも気になったが、美久に抱きつかれてしまうと至も弱い。
「お願い……美久を、抱きしめて……」
言うなり美久は、ベッドに仰向けになった。
「美久……」
その名前を呟いてから、至は彼女へと覆い被さっていく。
横で失神している姉に気を遣ってか、美久はいつも以上に縮こまり、至の愛撫を待ち受けているようだった。
「いつもみたいにして……」
「うん」
至は体を覆い被せてから、小さく開いた美久の唇へと口づけをした。
その合間に、指先を伸ばし、股間を触ってみると、さっきのクンニのせいか、そこはすでに濡れていた。
「美久……挿れるぞ」
「うん。お兄ちゃんのオチン○ン、ちょうだい……あっ!」
至のものが入っていくのに合わせて、美久は眉根を寄せた。
「ああ、入ってくる……なんだか、いつもより大きくて熱い……」
力あるものに圧倒されているかのような表情で、美久は訴えてくる。
「でも、気持ち良いよ。いつもより、気持ち、良い……
ああ、これがお兄ちゃんのオチン○ン。んん、全部入ってきた……」
至のものがすっぽりと埋め込まれた時、美久は満足げな笑みを浮かべた。
そんな表情に釣られるように、至は美久の首筋へと腕を絡め、全身を密着させた。
答えるように、至の背中へと美久の細い腕が巻き付いてきて、強く抱きしめてくる。
「美久……」
「お兄ちゃん……」
抱きしめ合い、結び合ったままに、二人は見つめ合う。
「……お兄ちゃんが、いつもより大きく見える」
そう言ったかと思うと、美久は自ら唇を近づけてきた。
至はそれを受け入れ、体を密着させたままに、至は腰を動かし続けた。
「んん……」
重なり合った口の中で、声にならない喘ぎ声が響く。
初めは、至の挿入に合わせて前後に揺れていた美久の体が、びくん、びくん、と震えるようになってきていた。
それに合わせるように、美久が腕の力を強めてくる。
至はそれを、抱きしめ返すことで答えつつ、腰の動きをさらに激しくする。
抱きしめ合う上体からは、美久の柔らかい肌触りが、下半身からは、美久の膣襞の蠢きが感じられる。
あどけなさの中にある女の部分を感じつつ、至は射精に近づいていた。
激しく動かしていた腰を、ぐいっ、と奥深くに埋め込むようにすると、それに応えるように、美久も腰を持ち上げてくる。
お互いを深く感じ合ったまま、至はそんな彼女へとさらに侵入した。
熱い精液を、美久の中へと放ったのだった。
「んん……」
か細い、それでいて熱のこもった吐息が、至の口中へと入ってくる。
その反応から、美久が絶頂に達したのだと至は感じた。
それを表すかのように、美久の瞳は、満足げな光に満ちていたのだった。

しばらくの間、お互いの絶頂を感じ合うように体を重ねていた二人だったが、あまり体重を掛けるのも悪いと思い、至は体を離した。
そして、黙ったまま、美久の頭を撫でた。
そんな至を見て、美久は悪戯っぽく笑ったかと思うと、上体を起こして、じっと至の顔を覗き込んできた。
やがて、人差し指を斜めに持ち上げて首をちょっとかしげるポーズをしたかと思うと、
「うふふ。いーくん、最後まで気付かなかったみたいね。
初めての3Pで興奮しているのは分かるけれど、ちょっと鈍すぎるんじゃないかな」
そう言ってきたのだった。
そのしゃべり方、仕草、雰囲気、そして、いーくんという呼び方。
「もしかして、翔子ねぇ?」
「ピンポーン。正解です。最終問題解答者に、ボーナスポイント5万点をさしあげまーす」
相変わらずの調子で、美久(翔子)は言ってくる。
「で、でも。階段から落ちて、元に戻ったんじゃないの。どうして翔子ねぇ、美久の体のままなんだよ。
あ、ってことは!」
至は、まだ気を失ったままの、翔子の体を見つめた。
「そうよ。わたしの体に入っていたのは、美久なの。わたしの体でイッちゃったから、失神したんだと思うの。
それじゃあ、そろそろ起こしましょうね」
言って美久(翔子)は、自分自身の体を揺さぶった。
やがて、うーん、とうなったかと思うと、ゆっくりと目を開けた。
その途端、美久(翔子)と目があった。
「え!? どうしてあたしが? あ、そうか!
……ああ、美久じゃないの。わたし、気を失っちゃったみたいね」
慌てたように、人差し指を斜めに持ち上げて首をかしげるポーズを取ってきたのだが、左右の指が逆だった。
「美久。もう演技しなくても良いよ。いーくんには、わたしたちが入れ替わってるって教えちゃったから」
「え、そうなの?」
様子をうかがうようにして、翔子(美久)が、至を見つめてくる。
「それにしても、どうして二人が入れ替わったままなんだ?」
「それはね。わたしと美久でエッチした時に約束したの。もしも階段から落ちて、体が元に戻るんじゃなくて、二人の体が入れ替わった状態だったら、そのまま元に戻った振りをして、いーくんとエッチしようって」
「でも、どうして俺だけ元に戻ったんだろ?」
「それは、単なる偶然よ。入れ替わるパターンって結構あるでしょ」
「でも、もしもあのまま、ちゃんと元に戻っていたらどうするつもりだったんだ?」
「その時は、いーくんの目を盗んで、こっそり二人で階段を落ちて、入れ替わるつもりだったんだけれどね。それが一発でうまくいったのは、ラッキーだったわ」
「そんなことをしなくても、俺に言ってくれれば……」
「だって、たまにはいーくんに、甘えたかったんだもの。中身がわたしだと思ったら、いつもみたいになっちゃうでしょ」
「あたしも……たまにはお兄ちゃんにもっと積極的になってみたかったし……」
「そういうことなのか……」
二人の話を聞いて、しばらく至は考え込んだ。
「わかった。二人の気持ちは分かったから、とりあえずは、元の体に戻ろうぜ。今回は、俺は関係無しで、翔子ねぇと美久が階段から落ちれば、元に戻るよな」
「わかったわ」
「うん、そうだね」
二人は返事をして、身支度を調えたのだった。

「それじゃあ、心の準備は良いか?」
昨日と同様に途中と下に布団を敷いた階段の上に立ち、至は二人へと確認した。
「うん、大丈夫」
「あたしも」
「それじゃ、俺が合図したら、二人で一緒に落ちるんだぞ。
じゃあ、1、2の3」
言うなり、翔子と美久の体が、階段へと飛んでいった。
だが、それだけではなかった。
その途中で、翔子は手を伸ばし、至の手を掴んできたかと思うと、そのまま引っ張り込み、二人と一緒に階段を転げ落とさせたのだった。
階段を落ちては二人の体とぶつかり合いつつ、至は、こういうのの組み合わせって、何通りあるんだろうなあ、ということと、その組み合わせを全部試さないことには、翔子ねぇは満足しないだろうなあ、と思ったのだった。





あとがき
今回は、あまり書くことのない入れ替わりものにチャレンジしてみました。普通の入れ替わりに比べて、三人の中での入れ替わりということで、変化を付けられたかな、と思っています。エッチシーンばかりの作品ということで、入れ替わりの基本である、入れ替わった相手の振りをして行動する場面が入れられなかったのが、ちょっと残念です。色々と考えはしたのですが、エッチシーンだけで結構な枚数になるため、割愛した次第です。
では、今回はこの辺で。

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