『闇に潜む者』〜第八章 "変身"

作:月華


「二人とも服を脱いで、わたしに裸を見せなさい」
水曜日の放課後、有紀と真沙子を保健室へ呼びつけた保健医の麻衣は、部屋の鍵を閉めるなり、二人の女生徒に命じた。
普通であれば実行などされることのない命令であるが、二人の生徒はすぐさま実行した。競うように制服を脱ぎ、畳むことなく床へ投げ捨てていき、あっと言う間に若い全裸をさらけ出したのだった。
そんな二人を、女保健医の麻衣は満足げに眺めていた。端から見れば異常な光景だが、この三人の支配関係にあっては、ごく当たり前のことだった。
麻衣に潜む者が、憑依し、支配をした有紀と真沙子に対して命令をし、それを二人が受け入れる……
さらけ出された二人の裸身を麻衣は見比べていた。活発な有紀に、大人しい真沙子。その二人共が、その裸身を使い、麻衣に潜む者のために精を集めているのだ。
そして、麻衣に潜む者は、この二人が集めた精を吸収する。
自然と、麻衣の表情に笑みが浮かぶ。
「まずはあなたたちに、良いものをあげるわ。とっても、気持ちが良くなるものよ」
女口調のままに、麻衣に潜む者が囁く。女の身として精を集めるには、この方が都合が良いのだった。
麻衣は、全裸で立ちすくむ二人の前に立ち、二人の股間へと指を伸ばした。
「あなたたちが集めた精を、形にしてもらうわよ」
「はい……あぁ……」
股間に指を這わされた、二人の少女の顔が、快感のためにゆがむ。
麻衣の人差し指には、二人のクリトリスが当たっている。いずれも、あまり使われていない小さなものを、麻衣の人差し指はぐりぐりと撫で上げる。
「あはぁ……」
麻衣の左右から、それぞれ違った、若い女の声が届く。気持ちよさを麻衣に伝えようと、何ら恥じることのない、快感を素直に表した声だった。
「うふふ」
指先に触れるものがわずかに変化したのを感じて、麻衣は声を上げて笑う。刺激を受けたクリトリスの固さがだんだんと変化し、大きさも人差し指に対抗するぐらいになってきている。
麻衣は、触れる指を人差し指一本に、親指を加えた。指でつまめるほどの、固く柔らかい感触は、舌先を摘んでいるかのようだった。
「どう。気持ちいいかしら?」
「はい、気持ちいいです」
「あ、あたしも……です」
「セックスするのと、どっちが気持ちいいかしら?」
「こっちです。麻衣様に触ってもらう方が、よっぽど良いです」
「ふふ。正直なのね」
二人と言葉を交わしているうちに、手の中のものは、片手で握れるぐらいの大きさになっていた。親指の大きさぐらいに突き出たそれは、大きなクリトリスよりも、子供のペニスぐらいになっている。
「そろそろ感覚が変わってきている頃よ。クリトリスが大きくなると、ペニスの感覚に変わるって、なかなか刺激的でしょ?」
「こんな感じ……初めてです」
「はい……オチ○チン、気持ちいいです」
二人とも、自らの意識を持ったままでは、初めて知る男の感覚だった。敏感なクリトリスを通して知るペニスの感覚は、高ぶった彼女らをさらに興奮させていく。
「ほら、見てごらんなさい。あなたたちのペニスよ」
すでに手のひらに乗るぐらいになったクリトリスの先端が、だんだんと膨らんでいく。先細りだったものの中間ぐらいが膨らみ、雁首の形を作っていく。
同時に、手のひらに載せられたものは、支えを得なくとも己の力で立ち上がるようになっていた。だんだんと上を向くと同時に、大きさもさらに増していく。
「もう男並の大きさになったわね。ペニスの感じって気持ちいいでしょ。
でも、まだ大きくなるわよ。あなたたちが集めた精の多さに集めて、もっと大きく、もっと気持ちよくなっていくのよ」
麻衣の言葉通り、二人のペニスは膨張を続けていた。
「ああ……気持ちいいです」
麻衣の手が触れずとも、勃起をしていくだけで、二人のペニスからは男としての快感がわき上がっていく。
二人の少女は、勃起しながら快感を与えてくるペニスに悶え続けている。
その痴態が先に終わったのは、真沙子の方だった。男の精を集め続けていた有紀に比べると、その差が二人のペニスの大きさとして現れるのは仕方がないことだった。
「あ……」
物足りなげな顔をして、麻衣を見つめてくる真沙子。そんな彼女の顎へ麻衣は手をさしのべて、
「あなた、有紀が羨ましいでしょ。もっと気持ちよくなりたいでしょ。
だったら、もっと精を集めるのよ」
「はい。申し訳ありません」
「別に謝らなくても良いわ。これから集めれば良いことなんだから」
真沙子に語りかけながら、麻衣に潜む者は思った。有紀に比べると、真沙子の方が憑依していた期間が短いので、支配できる時間も短くなってしまう。より多くの精を集めさせるためにも、己の能力を高めて、一度の射精で女を永遠に支配出来るようにならなければ……
そのためにも、まずは目の前にいる二人から精を集める必要があるのだ。
麻衣は、有紀の股間へと目を向けた。真沙子と話している間中、勃起を続けていた有紀のものは、すでに平均的な男のものを軽く越え、両手で握っても陰茎の部分が余るぐらいの大きさになっているのだった。
「うふふ。有紀のって、すごいわね」
その表情は、麻衣に潜む者による、精の大きさへの満足感であると同時に、麻衣による、ペニスの大きさへの欲求でもあった。
「それじゃあ、二人の精、注いで貰うわよ。
わたしの体にね」
言って麻衣は服を脱ぎ、ベッドへと座り、精の注ぎ口に指先を当て、左右へと開いて二人に見せつけた。
「まずは、有紀に入れてもらおうかしら」
「はい」
嬉々とした声を上げて、有紀は近づいてくる。一方の真沙子は、無表情のままだ。あくまでも、麻衣の命令を待つ下僕の表情だった。
「ベッドには上がらないで、そのまま入れるのよ」
ベッドの縁に座る麻衣は、有紀を床に立たせたままに、挿入を求める。言われた有紀は、上を向いたペニスを右手で押さえつけながら、ゆっくりと麻衣の入り口へと近づいていく。
「そうよ。そのまま、入れなさい」
有紀の先端が、麻衣の入り口へ押し当てられる。他の部分よりも暗くなった肉璧が左右に押し分けられると、その中からはピンク色の肉壁が姿を現す。その中へと、すっかり大きくなった有紀のものが、ずぶずぶと埋め込まれていく。
「あはぁぁぁ……」
「あぁっ! あっ!」
低く伸びる麻衣の声と、短く甲高い有紀の声が同時に響く。有紀と麻衣がわずかに距離を近づける度に、麻衣に入り込む有紀の部分は多くなっていく。二人の近づいた距離が、有紀が麻衣に入り込んだ長さだった。
二人の距離がだんだんと短くなり、麻衣の股間からさらけ出されている有紀のペニスも短くなっていく。
その間、二人はずっと喘ぎ声を上げるままだった。
麻衣は足を広げ、有紀のものを受け入れていく。有紀は腰を突きだし、麻衣のものへ埋め込んでいく。
続いていた麻衣の喘ぎ声が、ひときわ大きなものになった。
「あはぁっ!」
同時に、有紀は自分のものが行き止まりに当たったのに気づいた。先端が、ペニスを左右から包んでくるのとは違った、別の柔らかいものに触れている。
「動いていいわよ……有紀」
「はい……」
有紀が腰を退くと、胎内をえぐる快感が、麻衣に沸き起こる。麻衣がペニスの快感に溺れる中で、麻衣に潜む者は、有紀のペニスの持つ精に満足感を感じていた。
目の前では、有紀が巨大なペニスを股間に持ちながら、近づき、遠のいていく。うっとりと頬を染める少女には、不似合いな持ち物でもあった。
(少しでもバランスを取ってやろうか)
そう思った麻衣に潜む者は、右手を挙げて、有紀の乳房へと伸ばした。
「あなたの体、もっと気持ちよくしてあげるわね」
麻衣の右手が、有紀の胸を揉み始めた。麻衣に潜む者は揉みながら、有紀の体にある精へと念を送り、その一部を手元へと移動させていく。
「あ……胸が……」
麻衣に触れられていた有紀の胸が、いきなり大きさを増した。わずかに膨らみを表していただけの乳房の上を麻衣の手が動く度に、手を押し返すように膨らんでいくのだ。
これも、ふたなり化と同様に、麻衣に潜む者が持つ能力の一つだった。相手の精を操り、その体を変身させる。もちろん大きさだけでなく、感度も変えることは可能だ。
「や……すごく……気持ちいい」
有紀の胸が膨らむと同時に、麻衣に入れられたペニスが小さくなるのが感じられた。精を移動したため、仕方がないことだが、十分な精を持つ有紀の場合は、さほど大きな変化は無い。
「どう。気持ちいいでしょ」
麻衣の両手が、有紀の乳房に添えられる。
「はい……とっても……」
「ほら、腰の動きを続けなさい」
「はい」
有紀にペニスを挿入されつつ、麻衣は有紀の乳房を揉みしだいた。入れられて、体の中をこねくり回される女の快感を味わうと同時に、鷲掴みにし、乳房を弄ぶ男の快感を味わっているのだ。
女の快感と男の快楽を同時に味わいつつ、麻衣はそのどちらも味わっていない者へと目を向けた。ベッドの先には、真沙子が相変わらず全裸のままに立っている。
「真沙子。あなたも気持ちよくなりたいんでしょ。
だったら、有紀の中に入れてあげなさい」
「はい」
短く答えるなり、真沙子は有紀の背後に立ち、巨大なペニスの下にある有紀の割れ目へと、己のものを突き立てた。
「有紀は腰の動きを止めて、真沙子のものを受け入れてあげなさい」
「はい」
同時に、麻衣の胎内へペニスが深々と埋め込まれたままに、有紀の腰の動きが止まる。動かなくなった有紀の入り口へと、真沙子は一気に突き立てた。
「あはぁっ!」
声を上げたのは、有紀の方だった。これまでは、ペニスで攻める一方だったのが、いきなり背後から突き立てられ、女としての快感を与えられる。
埋め込まれると同時に、有紀のペニスがさらに大きくなるのを麻衣は感じた。真沙子の持つ精が有紀のものへと移り、有紀のペニスに影響を与えているのだ。
「いいわ。動きなさい」
「はい」
麻衣と有紀が動きを止めたままに、真沙子が腰を突き立てると、有紀のペニスと全身を通して、麻衣に伝わってくる。直接受けるピストン運動に比べれば弱いものの、女の体を通じて全身で振動を味わうのも、なかなか面白いものがあった。
「もっと……力強くやりなさい」
真沙子に命じながら、麻衣は揉みしだいていた有紀の乳房から手を離し、有紀の体を己の体へと引き付けた。
精によって麻衣のものよりも大きくなった乳房が、麻衣の乳房へと当てられ、真沙子の振動が伝わってくる度に、乳房にめり込んだ乳首が揺れ、有紀と麻衣へ快感を与える。
「あは……いいわ……」
全身で感じる、真沙子の動きと有紀の精の強さに、麻衣はうっとりとしながら溜息をもらす。まとわりついてくるような有紀の若い肌も、麻衣の官能を高めていく。
(そろそろ、こいつの精をいただくとするか)
麻衣に潜む者はそう思うなり、挿入運動を続ける真沙子へ念を送った。
「あ……あたし……出ちゃいますっ!」
突然訪れた刺すような男の快感に、真沙子は声を上げた。
「出しなさいっ。有紀の中に、思いっきり出しなさい。
思いっきり『イクっ』って叫びなさい」
「はぃ……イクっ、イクっ、イッちゃうっ!!」
叫ぶなり、真沙子のペニスからは精液と、精が流れ出した。それが引き金となり、今度は有紀の中で絶頂が訪れた。
「あたしもっイクッ!」
目の前で、二人の少女が続けて絶頂に達すると同時に、麻衣の胎内には有紀の精液と、それをはるかに上回る精が流れ込んでくる。
「あぁぁっ!」
精液を流し込まれて絶頂を上げる麻衣の声を聞きながら、麻衣に潜む者は有紀の精を吸い込み続けた。それがそのまま吸い込むような麻衣の膣の動きになり、抱きかかえるような麻衣の腕の動きへと変わる。
有紀に潜む者は、有紀の乳房を膨らました時に使った精を思い出した。そいつも搾り取ろうか、と一瞬思ってから考えを変えた。
まずは、有紀のペニスにある精を全部集めるのが先だ。
快感と共に精が流れ込んでくる度に、有紀のペニスは小さくなってきた。その有紀の後ろでは、少ない精を放ち、ぐったりとしたような顔を真沙子がしている。
「真沙子。あなたはしばらく休んでいなさい」
命じられるままに、真沙子はふらふらと椅子へと倒れ込んだ。
「ふふふ。真沙子、よく頑張ったわね。
あなたには後で御褒美に、あたしの精液をあげるわ」
「ありがとうございます」
まもなく切れる支配を伸ばすために注ぐ精液だが、真沙子はそれを待ち望ぶ顔で答えた。
真沙子が椅子に座り込むのを見てから、麻衣は正面にいる有紀を見つめた。真沙子と違い、有紀の顔は陶然としていた。
「有紀、あなたには、まだまだ楽しませてもらうわよ」
そう言って麻衣の手が、有紀の乳房に伸びる。
「あっ」
麻衣が乳房をまさぐると、有紀の乳房はゆるゆるとしぼんでいった。
「あ……オチ○チンが」
だがその代わりに、麻衣の胎内に収まったままの有紀のペニスに精が集まり、再び勃起していく。
「お前の精を、全て搾り取るまで楽しませてもらうぞ」
有紀の持つ全てを絞り出そうと、麻衣は今度は、自ら腰を動かして、有紀の体を突き立てていったのだった。

第八章<完>

第九章「奪身」へ
メインページへ戻る
この作品は、
「月華の本棚」http://www.geocities.co.jp/Bookend-Ohgai/8113/main.html
に掲載されたものです。